「ギャラリスト葵と悪役令嬢レイラの華麗なる人生やり直し契約」[ 5/23 (Fri) – 6/14 (Sat) ]


 

 

TAV GALLERYはアーティストおよび俳優として活動する遠藤麻衣による企画展「ギャラリスト葵と悪役令嬢レイラの華麗なる人生やり直し契約」を開催いたします。本展は、少女漫画の流れをくみ、オンライン小説やwebマンガにおいて一大ジャンルを築いている「悪役令嬢もの」に着想を得たグループ展です。この設定を応用して、フィクションと現実を交錯させ、私たちが複数の時空・人格にまたがって存在するという「多元的自己」の仮説を演劇的に体現いたします。

 

出展作家は、遠藤の他に、久松知子、馬嘉豪(マ・ジャホウ)、宮野かおり。久松は、ニューヨーク滞在前に制作した、ギャラリー裏方の「差し箱」(作品輸送用木箱)を主題にした大作絵画を中心に展示します。馬は、二藤建人との共作による映像作品《HOLMGANG》を展示し、粘土を用いた変身的行為により、他者のアイデンティティを奪い合う男権的社会構造を批評します。宮野は、架空の漫画雑誌「月刊ころん」に掲載される少女漫画のカラー表紙を絵画にした作品を展示します。「あり得たかもしれない世界」や「別の時間軸を共存させる同時異図」を示す作品郡によって、単線的な時間性を変容させて複数の歴史線上に作品を配置し直す方法論として展覧会を成立させます。

 

本展が参照する「悪役令嬢もの」とは、少女漫画や乙女ゲームなど「女性向け」とされるコンテンツの物語構造において通常バッドエンドを迎える悪役の人生がやり直されて救われてゆく物語です。物語の舞台は、ファンタジー要素を加味した中世ヨーロッパ風の階級社会であることが多く、その時代を生きる悪役である令嬢は、「転生」や「憑依」によって別の運命を切り開こうとします。本展において、遠藤は一度「死」を経験し、中世ヨーロッパを生きた悪役令嬢の力を借りて未来の悲劇的結末を回避するべく二度目の人生を生きる「ギャラリスト葵」になりきります。会期中、遠藤はギャラリスト葵としてTAV GALLERYに滞在し、作品やアーティストの紹介、さらに「葵」の背景にある物語を来場者に伝えます。現実とフィクションの境界を溶かす演出により、既存の価値基準や歴史的連続性に依存しない、新たな表現の位相を探します。皆さまのご来場を、お待ちしております。

 

 

佐藤栄祐


開催概要

名称:ギャラリスト葵と悪役令嬢レイラの華麗なる人生やり直し契約
会期:2025年5月23日(金)- 6月14日(土)
会場:TAV GALLERY(東京都港区西麻布2-7-5 ハウス西麻布4F)[080-1231-1112]
時間:13:00 – 19:00
休廊:日、月

出展作家 : 遠藤麻衣、久松知子、馬嘉豪(二藤建人+馬嘉豪)、宮野かおり

企画 : 遠藤麻衣

レセプションパーティ:2025年5月23日(金)18:00-20:00

ギャラリスト葵の在廊日程

会期中、下記の日程で遠藤麻衣はTAV GALLERYのギャラリスト「葵(中身は貴族令嬢)」としてご来場者を迎え入れます。

5月23日 18:00–20:00 *オープニング・レセプション、葵のリハーサル
5月24日 17:00–19:00
6月07日 17:00–19:00
6月11日 13:00–15:00
6月13日 18:30–20:00 *会期20時まで延長
6月14日 13:00–18:00 *記録撮影

 

*予約不要、入場無料
*時間が多少前後する場合がございます。ご了承ください。
*14日は記録撮影が入ります。撮影の際にご来場の方には確認をお取りしますので、映り込みを避けたい場合はお伝えください。

 


出展作家プロフィール

 

遠藤麻衣 Mai Endo

1984年兵庫県出身。近年は、「記録に残されなかった身体表現」の歴史を、映像やパフォーマンス、共同制作を通じて読み直し、現代に接続する実践を行っている。日本のストリップショー文化をクィア的に解釈したパフォーマンス《オメガとアルファのリチュアル》や、東アジアの伝承・蛇婿入譚をパフォーマンスとして再構築した〈蛇に似る〉シリーズを発表。「受動性」「失敗」「批評的捏造」といったクィアフェミニズム理論における思考を実装しながら身体の政治性や人間と非人間の関係性を探る。2023年に「Scraps of Defending Reanimated Marilyn」(oarpress)刊行。2018年に丸山美佳と「Multiple Spirits(マルスピ)」を創刊。本展では、「ギャラリスト葵」を演じる。

https://linktr.ee/maiendo

久松知子 Tomoko Hisamatsu

1991年三重県出身。埼玉を拠点に活動。年東北芸術工科大学修士課程修了。土地に根差した文化や歴史へのリサーチや、コミュニティに関わる個人の経験をもとに、具象絵画・ドローイングを中心に制作する。近年の主な展覧会に、「ふくしまの酒造り-酒を醸し和を醸す-」(2024、福島県立博物館)、「カンヴァスの同伴者たち 高橋龍太郎コレクション」(2024、山形美術館)、「シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画」(2023、ポーラ美術館)、など。2022〜23年、ポーラ美術振興財団による若手芸術家の在外研修助成派遣でニューヨークに滞在。2015年、第18回岡本太郎現代芸術賞で岡本敏子賞を受賞。

https://www.instagram.com/tomokohisamatsu/

馬嘉豪    Jiahao Ma

1996年生まれ。中華人民共和国西安出身。埼玉を拠点に活動。兵馬俑(へいばよう)を彷彿とさせる建築模型用の人体フィギアを圧縮させた彫刻作品を数多く発表。社会主義制度の問題を問う現代美術家の馬嘉豪(マ・ジャホウ)は異邦人として日本国のあり方を俯瞰的に読み解き、社会に生きる人々の共存の可能性を問い続けている。主な個展に「霾(PM2.5)」TAV GALLERY(東京)、二藤建人x馬嘉豪  2人展「HOLMGANG」など。主な受賞歴に第4回CAF賞入選、第22回岡本太郎現代芸術賞入選。

https://www.instagram.com/majiahao1213

宮野かおり Kaori Miyano

1990年東京都出身。幼い頃から親しんできた「りぼん・ちゃお・なかよし」などの少女マンガ雑誌を制作のルーツにもち、それらで使用されてきた技法・画材を転用して絵画作品を主に制作している。少女マンガがもつキラキラで華やかで豊かな感情・情景表現や花・リボンなどが舞う装飾的な世界観を描き、読者の少女たちが日々の生活の中で大切に抱いてきた美学の視点から美術に介入したり、歳を取らない画面上の少女と現実の自分との距離について表現する作品を作っている。他に、少女マンガを中心とした少女文化や歴史を美術を通して後世に残してゆくための研究・活動をしており、グループ展などを企画・運営・記録としてZINEの発行も行う。

https://www.instagram.com/eternal_kaorin/