UMMMI. 個展「頭のいかれた悪魔の泥沼」 [ 7/14 (fri) – 7/30 (sun) ]
7月14日(金)から7月30日(日)まで、現在24歳のアーティスト UMMMI. の初個展「頭のいかれた悪魔の泥沼」を開催いたします。
UMMMI. は、映像作家として、「イメージフォーラムフェスティバル」や、ポンピドゥーセンター主催の「オールピスト東京」など、数多くの映像祭で作品を発表しながら、ZINE の制作や小説の執筆など文筆家としても活動し、映像および文章の両メディアで非凡な才能を発揮しています。また、GALLERY X BY PARCO の杮落とし展「女子と渋谷の展覧会 from シブカル祭。」(2016年)に出品するなど、これからの飛躍が期待されている若手芸術家です。
UMMMI. の制作に通底するテーマは「愛」です。ただし、普遍的な愛やその表象とは一線を画し、いわゆる「マイノリティ」に関するものではないにせよ、マイナーな「愛」のありかたが主題です。一部で自身の経験をもとにするなど、私的な問題を中心化していますが、彼女の作品は、語るに足らぬ特殊な個人史の領域に留まらず、むしろ特別な「愛」の可能性に及んでいます。形式的には、具体的な構成のメロドラマを基軸にし、抒情的な映像あるいはナレーションで、それを再現することが特徴です。複数のチャンネルから感覚に訴えるため、共感を喚起することもあれば、同様に反感を生むこともありますが、やはり個人に関する肯定的なメッセージが秘められており、世界から孤独な実存を保障することにかかわっているように思われます。
本展では、会場を「部屋」に見立て、全体的なインスタレーションとして関連する、いくつかの映像とテキストを展示します。会期中にはトーク・イベントやライブ・パフォーマンスを開催し、会期後にはキュレーターによる批評を発表する予定です。UMMMI. の作品と、それにまつわる言説への積極的な参加を賜りたく存じます。
飯盛希
アーティストプロフィール
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UMMMI.
2012- 東京藝術大学先端芸術表現科在学中 受賞・入選 2016 CAF(現代芸術振興財団)賞 岩渕貞哉賞 受賞 主な展覧会 2016 ホテルシェイクスピア, BankART Studio NYK 主な上映 2017 「永遠に関する悩み」「UMMMI.のロンリーガール」UPLINK 渋谷 WEB : http://www.ummmi.net/ |
開催概要
名称 : UMMMI. 個展「頭のいかれた悪魔の泥沼」
会期 : 2017年7月14日 (金) – 7月30日 (日)
会場 : TAV GALLERY (東京都杉並区阿佐谷北1-31-2) [03-3330-6881]
時間 : 13:00 – 20:00
休廊 : 水、木
Opening Party : 7月14日 (金) 18:00 – 20:00
LIVE EVENT : 7月15日 19:00- / Meta Flower 「Poison to tha def (death) 」
TALK EVENT : 7月28日 (金) 19:00 – / 今村純子 x UMMMI. 「遠さについて」(ワンドリンク付き、トークイベント入場料1000円)
展覧会に寄せて
UMMMI.
最強の愛はなんだろう、と考えた時にめちゃくちゃ長い時間を共にしてるとか、なにか大きな事件を乗り越えたとか、一度も喧嘩したことないとか、出会ってすぐに結婚したとか、しんどい時めげずに支えてくれるとか、とにかく毎日愛を囁きあってるとか、まあ色々あるのだろけど、今回初めて個展をするにあたって、モチーフにしている男の子はそのどれにも当てはまってはいない。アタシたちの愛は今にでも折れてしまいそうで、弱々しくて、日々の関係性を続けるだけで疲れ果てていて、心休まる瞬間もなくて、つまりどちらかといえば最強の愛っていうより、その真逆だ。そのうえ彼は永遠のトラブルメーカーで気が狂っていて、だけど人知れず真面目で奇妙で才能があるという、ヘンテコな男の子なのである。彼と一緒に住むことになったのも、アタシが前の家の家賃を払えなくなったとか向こうが住んでいた下町にあるドヤ街の真ん中のタコ部屋みたいなルームシェアが解散になるとかなんとかっていうそうゆう理由で、愛によって突き動かされたかと言ったら、もちろん愛もあるけどそれは要素に過ぎない。それでもアタシたちは、まるで呪いのように一緒に過ごしている。恋人たちは、関係性を続けることに疲れ果てていて、外の世界へと一過性の助けを求めて彷徨い歩く。けれど敢えてそんな彼を作品のモチーフにしようと思った理由は、この情けない状況がアタシにとってのリアルだからだ。この悪魔の泥沼みたいな、そしてごくたまに汚れきった天国のような、一瞬だけ驚きの愛に満ち溢れているような、そうゆう状態について。今回の展示では、空間を部屋という密室に見たてて映像インスタレーションとテキストをメインに展開する。最も大切な瞬間は、いつでも密室のなかでのみ密かに起こるものだから。