遠藤麻衣 公演「ボクは神の子を妊娠した。」[ 12/23 (wed) – 12/27 (sun) ]


 

決TAV13

 

舞台俳優、美術家として活動するアーティスト・遠藤麻衣の公演「ボクは神の子を妊娠した。」を12月23日(水・祝)から27日(日)まで開催します。

 

舞台俳優としての遠藤麻衣は、岸井大輔による「ふるまいのアーキビスツ」(2014年)や「始末をかく」(2014年~)、西尾佳織 演出の朗読劇「8 -エイト-」(第24回 東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)および「透明な隣人 ~ 8 -エイト- によせて」(フェスティバル/トーキョー14)に出演するなど、幅広い演技を見せています。

 

それと同時に、渡辺美帆子との演劇ユニット〈二十二会〉として、「これが100である」(HAGISO、2013年)や、「目に殴られた」(22:00画廊、2014年)など、オルタナティブ・スペースにおいて、演出家と俳優、あるいは鑑賞者との関係について問うような演劇作品の発表を行っています。

 

近年、美術家としての制作でも注目を集めており、初個展「アイ・アム・フェニミスト!」(Gallery Barco、2015年3月)では、ピカソの《泣く女》を文字通り背景にした絵画および映像作品を発表し、同作は韓国・国立現代美術館におけるスクリーニング(長谷川仁美によるキュレーション)で上映されました。

 

本公演は、映像作品の上映によるプレゼンテーションと、パフォーマンスから構成されます。遠藤麻衣は、自らの身体をメディウムとして用いることについて、さまざまな位相から考察を行った結果、「他者」を受け容れる理想的な媒質であるとして〈初音ミク〉を〈聖母マリア〉と重ね合わせました。そのとき、2つの女性像が見せる輪郭のズレは、現代における「受胎告知」であると言えます。俳優であり、美術家でもあるという彼女の特殊な視点は、私たちにとって意外な切り口を呈示するでしょう。ご期待ください。

 

 

飯盛希

 

 

作家プロフィール

 

遠藤麻衣

1984年 兵庫県生まれ
2007年   東京藝術大学絵画科油画専攻入学
2011年 東京藝術大学美術研究科壁画第一中村政人研究室入学
2013年 東京藝術大学美術研究科壁画第一中村政人研究室卒業

 

[個展]

2015年 「アイ・アム・フェミニスト!」(ギャラリーバルコ)[河口遥 コーディネート]

[グループ展]

2014年 二十二会「目に殴られた」(22:00画廊)
2013年 二十二会「これが100である」(HAGISO)

[その他の活動]

2015年 始末をかく4「茶屋建築に求めてゆかなければならぬ」(みなとみらい線 馬車道駅)[岸井大輔[作]]
2015年 ふじのくにせかい演劇祭2015「例えば朝9時には誰がルーム51の角を曲がってくるかを知っていたとする」(SPAC-静岡県舞台芸術センター)[鈴木一郎太・大東翼・西尾佳織[演出]]
2015年 高松次郎バースデー記念公演「台本」(東京国立近代美術館)[高松次郎[作]神里雄大[演出]]
2014年 始末をかく3「こころをよむ」(UPLINK FACTORY)[岸井大輔[作]]
2014年 フェスティバル/トーキョー14「透明な隣人 ~ 8 -エイト- によせて」(アサヒ・アートスクエア)[西尾佳織[作・演出]]
2014年 第24回 東京国際レズビアン&ゲイ映画祭 公式コラボイベント公演「8 -エイト-」(アツコバルー arts drinks talk)[ダスティン・ランス・ブラック[作]西尾佳織[演出]]
2014年 「始末をかく」(blanClass)[岸井大輔[作]]
2014年 「ふるまいのアーキビスツ」(としまアートステーション「Z」)[岸井大輔[作]]

 

Web : http://www.maiendo.net/

 

 

開催概要

 

名称 : 遠藤麻衣 公演「ボクは神の子を妊娠した。」
会期 : 2015年12月23日(水・祝)- 12月27日(日)
会場 : TAV GALLERY(東京都杉並区阿佐谷北1-31-2)[03-3330-6881]
時間 : 12月23日(水・祝)[(1)17:00- / (2)18:00- +トークイベント]12月24日(木)- 12月27日(日)[(1)17:00- / (2)18:00- / (3)19:00-(3公演)]
休廊:会期中無休

入場料:1,000円(ワンドリンク付)


※当イベントは予約優先となっております。ご予約は12月17日(木)12:00時から受付開始となります。お名前、ご希望の日時、部数((1)、(2)、(3))をご記入の上、( info@tavgallery.com )まで、ご予約下さい。上映、パフォーマンス時間は約30分程を予定しております。お支払いは公演当日、TAV GALLERY受付にて承らせて頂きます。会期中の再入場につきましては500円(ワンドリンク付)を頂戴しております。お名前確認の為、芳名帳への記載をお願い致します。

 

 

関連企画

 

□ 2015年12月23日(水・祝)18:00-21:00

トークイベント[岸井大輔(劇作家)× 飯盛希(TAV GALLERY キュレーター)]×公演×レセプションパーティ

入場料:1,000円

 

 

ステートメント

 

 

初音ミクになりたい。なぜなら彼女は究極の俳優だからだ。彼女のようなからっぽの容器としての身体に憧れる。 彼女は、大衆の欲望をそのまま映し出す鏡であり、自意識がない。そのため、他者からの入力コードを決して拒絶することなく、発声することができる。どこまでも完全なる媒介者。しかし、僕のこの生々しい肉体 には、外部からの入力に拒否反応を示す濃密な自意識がみちている。僕の意識がからっぽであることを望めば望むほど「初音ミク」から遠ざかっていくようだ。こうした感覚を持つ者は、僕だけではないはずだ。このような希求は永遠に達成されないのであろうか。

 

コンサート会場で、ミクが歌っているのを見ている。飛んだりはねたりする彼女に声援を送る。おぼろげな幻影のようだが、確かに彼女は僕の目の前にいる。しかも、生身のアイドルのようないやらしさが微塵もない。アイドルというよりは、聖母に近い。

 

初音ミクを人の形をした完全な器としてとらえたとき、そこから歴史を遡って想起されるのは聖母マリアのイコンではないか。そう、「受胎告知」である。天使から告げられた受胎告知を受け入れ神の子を授かったマリア。外部からの入力を拒絶せずに出力する彼女もまた、人の姿をした完全な器だ。天上から子を授かったマリア、バーチャルの世界から降り立ったミク。異世界を引き合わせるイコンとしてこの二つを重ね合わせることができる。

 

ところが、ミクはマリアとはちがって、妊娠することがない。ミクの腹が大きくなることはないのだ。つまり、マリアとミクとの差異を考えるのは、現代の女にとって出産とは何か?を問うことである。

 

 

遠藤 麻衣