TAV GALLERY 10th Anniversary Exhibition「SHARE・YOUR・BREAD #2」


 

 

この度、TAV GALLERYは10周年を迎えるにあたり、久保祐司コレクション展「SHARE・YOUR・BREAD」をThe Chain Museumが運営する「アートかビーフンか白厨(六本木)」と参加アーティスト10名による新作を中心としたグループ展をTAV GALLERYの二会場で同時に開催いたします。

 

今回の「SHARE・YOUR・BREAD」は、新たな時代のコレクターである久保祐司がTAV GALLERYでコレクションを行なってきた作品を一挙公開するとともに、参加アーティストの新作をArtStickerに紐づけ、期間限定でご紹介する企画です。
SHARE・YOUR・BREAD#1では2024年8月6日(火)-8月31(土)にて、The Chain Museumが運営するアートかビーフンか白厨(六本木)で久保祐司によるコレクション展を開催。#2では2024年8月16日(金)- 9月7(土)の会期にて、TAV GALLERY(西麻布)で、アーティスト10名の新作を紹介するグループ展が開催されます。

 

TAV GALLERYは、キュレーションプラットフォーム(2014-2019)としてデビューし、数多くのインディペンデンスキュレーターと共にこれまでに100本以上の企画展示を行い、計305名の国内外のアーティストにご参加いただきました。2014年6月28日に東京都杉並区でオープンし、2022年に西麻布の雑居ビル「ハウス西麻布」に移転を行い、この度、2024年6月28日に正式に開廊10周年を迎えました。この場を借りて、TAV GALLERYを応援してくださる皆様、アーティスト、ご関係者の皆様、そして運営者の皆様に心から感謝を申し上げます。ここまで来れたのは、紛れもなく皆様のおかげです。誠にありがとうございました。これからも、実験的かつ挑戦的な展覧会を企画していく所存です。引き続き、TAV GALLERYの活動にご注目いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

当展覧会は、2014年から2024年の間にTAV GALLERYでご購入頂いた久保祐司氏のアートコレクションを中心に、現代美術における対話と相互理解を促進する場を提供いたします。久保祐司氏は高校時代に触れたロシアの「ナロードニキ運動」の画家たちに影響を受け美術鑑賞の道に入りました。その後、会田誠「天才でごめんなさい展」で日本の現代アートに強く惹かれ、TAV GALLERYで初めて作品を購入しました。”戦争”が文脈化されたコレクション活動を始めた新たな時代のアート・コレクターです。ナロードニキ運動は、19世紀後半のロシアで起こった知識人主導の社会運動で、農民層を革命の基盤とする社会主義運動の名称を指します。ナロードニキ(Narodniki)はロシア語で「人民主義者」を意味し、彼らは「人民の中へ」というスローガンを掲げ、農民とともに革命の実現を試みました。久保祐司氏はTAV GALLERYをコレクティブとして見立て、社会の矛盾を表出させ、権威に対して絶えず批評性のある展覧会を心掛けてきた──と評しています。

 

当タイトル「SHARE・YOUR・BREAD」は、個人のアイデンティティや権威が拡張する過程を示唆し、集団としての共存と共有の重要性を探ります。開催日の8月6日は1945年に広島へ原爆が投下された日であり、分断の進む世界情勢を反映し、展覧会は緩やかな反戦のメッセージを伝えます。出展作家たちは各々異なる思想とジェンダー背景を持ち、その多様性を通じて「SHARE・YOUR・BREAD」のテーマである対話と相互理解を具現化します。

 

空間と機会をシェアし続けてきたTAV GALLERYと、10名の気鋭アーティストを中心に8月は六本木の二拠点を使い、10周年のお祝いを皆様と共に、フラットな対話を行える場を設けたいといった一心で、当展覧会は立案されました。初の試みとなるTAV GALLERY 10周年記念展、久保祐司コレクション「SHARE・YOUR・BREAD」に、是非ご期待ください。

 

佐藤栄祐 TAV GALLERY


開催概要

名称:TAV GALLERY10周年記念展「SHARE・YOUR・BREAD #2
会期:2024年8月16日(金)- 9月7(土)
会場:TAV GALLERY(東京都港区西麻布2-7-5 ハウス西麻布4F)[080-1231-1112]
時間:13:00 – 20:00
休廊:日、月

レセプションパーティ:2024年8月23日(金)19:00-21:00

出展作家:磯村暖、遠藤麻衣、オートモアイ、菅原玄奨、坂爪康太郎、馬嘉豪、町田太一、中島晴矢、李晶玉

同時開催

名称:TAV GALLERY10周年記念展 久保祐司コレクション展「SHARE・YOUR・BREAD #1
会期:2024年8月6日(火)- 8月31(土)
会場:アートかビーフンか白厨か(東京都港区六本木5-2-4 朝日生命六本木ビル2階)[03-6434-9367]
時間:17:00 – 23:00(LO.22:00)
休廊:日、月

レセプションパーティ:2024年8月6日(火)18:00 – 23:00

出展作家:磯村暖、遠藤麻衣、オートモアイ、草刈ミカ、菅原玄奨、坂爪康太郎、馬嘉豪、町田太一、中島晴矢、李晶玉

web : https://artsticker.app/events/36039

 


出展作家プロフィール

磯村暖 / Dan Isomura

現在東京を拠点に活動している美術家。絵画、彫刻、映像やインスタレーションなど表現は多岐に渡る。現在の関心事は過去に地球上で繁栄した生物のいる景色といない景色を現代の人間社会と未来の社会に重ね、その心象を様々な形で具現化すること。ACCフェローシップでのニューヨークにおける滞在制作、アジアアートビエンナーレ(国立台湾美術館)への出展、TEDxUTokyo 2023(東京大学安田講堂)のイベントに登壇するなど、その活動の場は様々な領域に及んでいる。主な個展に「地獄の星」TAV GALLERY / 東京(2016))、「んがんたんぱ」銀座 蔦屋書店GINZA ATRIUM /東京(2020)等。近年の主なグループ展に「Phantasmapolis – 2021 Asian Art Biennial」国立台湾美術館 /台湾(2021)、「都市は自然」セゾン現代美術館 /長野(2020)、等。

遠藤麻衣 / Endo Mai

俳優・美術家。イメージとの関わりにおけるパフォーマティブな身体に関心を寄せ、映像、写真、演劇、本などのメディアや方法論を横断した表現をしている。近年は、美学校で「シャドーフェミニズムズの芸術実践」の開講や、丸山美佳との「Multiple Spirits(マルスピ)」でジン出版や展覧会企画などクィアフェミニスト的な実践を展開している。主な展覧会に「体の終わり La Clausura del Cuerpo」(Centro Cultural las Cigarreras、Alicante、2022) 「燃ゆる想いに身を焼きながら」(愛知県立芸術大学サテライトギャラリー SA・KURA、愛知、2021)、「フェミニズムズ」(金沢21世紀美術館、石川、2021)、「ルール?」(2021年、21_21 DESIGN SIGHT)「ここは未来のアーティストたちが眠る場所となりえてきたか?」(国立西洋美術館、東京、2024)など。2023年に「Scraps of Defending Reanimated Marilyn」(oarpress)刊行。2021年東京芸術大学美術研究科博士後期課程修了。2022年文化庁新進芸術家海外研修制度でニューヨーク滞在。

オートモアイ / AUTOMOAI

2015年からモノクロでの作品の制作を開始、2018年からはカラーも多用し、匿名性の高い“存在”が画面に佇んでいるような 作風で知られる。極めて客観的でもありながら、とてもパーソナルな情景にも見えてくるその作風は、人間同士の関係性や、作品と鑑賞者の関係性など、必要な情報が削ぎ落とされているからこそ見えてくる景色と情景を提示。

草刈ミカ / Mika Kusakari

美術家。1976年神奈川県生まれ。東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻卒業。初期作品としては、感情を一切排し自らマシーンと化して機械的に制作する『複製絵画』、デジカメ流行時代の『アニメーション絵画』、インスタレーションとしての『画中画』、エアーブラシを用いた『恍惚点描画』等、2000年以降は、絵の具をチューブから直接絞り出したような多重な線によるアクロバティックな『凹凸絵画』等、密かにダダの香り漂うシリーズ作品を展開してきた。2016年、李世ドルがAlphaGOに敗退した事件をきっかけに、人工知能に美意識は芽生えるのか?と問い掛け「人工知能美学芸術研究会(AI美芸研)」を美術家 中ザワヒデキらと共に発足。「美意識のハードプロブレム」「演奏家に指が10本しかないのは作曲家の責任なのか」「AI芸術の先駆と拡張-自動ピアノ・四分音・生成AI」等をテーマに研究会や展覧会をAI美芸研の作品として企画制作する。

菅原玄奨 / Gensho Sugahara

1993年東京都生まれ。2016年に東京造形大学造形学部彫刻専攻領域を卒業、18 年に同大学院造形研究 科造形専攻修士課程美術研究領域を修了。「テクスチャーと触覚性」をテーマに、 FRP(繊維強化プラスチック)や粘土を主な素材とした彫刻作品を発表している。消費 的なファッションをまとって記号化されていく現代人の身体をかたどり、わずかな触覚 性と匿名性を強調した作品は、移ろいゆく現代の表層や実態の拠りどころのなさを内 包する。主な個展に、「湿った壁」(EUKARYOTE、東京、2024)、「invisible」(TAV GALLERY、東京、2016)。主なグループ展に、「Chimeric Sculptures Expression」(AKI GALLERY、台北、2024)、「遊歩する分人」 (GASBON METABOLISM、山梨、2023)、 「空の器-An Empty Vessel-」(MA2 GALLERY、東京、2021)など。17 年に「群馬青年 ビエンナーレ」奨励賞を受賞。

坂爪康太郎 / Kotaro Sakazume

1988年東京都生まれ。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科陶磁専攻卒業。多様な相関関係をテーマに、電動ろくろでかたちづくった形状を変形させたり繋いだりすることで「表裏」や「内外」などを感じさせる陶磁器の仮面彫刻を制作している。その他に、倖田來未の楽曲「Dance In The Rain」のMVのマスクデザインや、アイドルグループ「仮面女子」のマスクを制作。陶芸教室「P&A Pottery class」の主宰も務める。

馬嘉豪 / Ma Jiahao

1996年生まれ。中華人民共和国西安出身。埼玉を拠点に活動。兵馬俑(へいばよう)を彷彿とさせる建築模型用の人体フィギアを圧縮させた彫刻作品を数多く発表。社会主義制度の問題を問う現代美術家の馬嘉豪(マ・ジャホウ)は異邦人として日本国のあり方を俯瞰的に読み解き、社会に生きる人々の共存の可能性を問い続ける。主な個展に「霾(PM2.5)」TAV GALLERY(東京)「Involution society」ARTDYNE GALLERY (東京)など。

町田太一 / Taichi Machida

1992年生まれ、群馬県伊勢崎市出身の現代美術家。ゲームのイメージとセクシャリティの可能世界を描き出す作風で、幼い頃の触覚的な記憶や、ゲームや映画から着想を得た非現実的なイメージを巧みに表現する。社会生活における理想的な循環や、自身の分身を象ったミュータントたちの生活様式を、絵画、3Dプリンターを使って制作するマルチメディアなアーティストとして知られる。

中島晴矢 / Haruya Nakajima

1989年神奈川県生まれ。法政大学文学部日本文学科卒業、美学校修了。現代美術、文筆、ラップなど、インディペンデントとして多様な場やヒトと関わりながら領域横断的な活動を展開。美学校「現代アートの勝手口」講師。プロジェクトチーム「野ざらし」メンバー。主な個展に「東京を鼻から吸って踊れ」(gallery αM, 2019-2020)、キュレーションに「SURVIBIA!!」(NEWTOWN, 2018)、グループ展に「RE : FACTORY」(寺田倉庫G1ビル, 2023)、アルバムに「From Insect Cage」(Stag Beat, 2016)、著書に『オイル・オン・タウンスケープ』(論創社, 2022)など。

李晶玉 / RiJongOk

1991年東京都生まれ。2018年朝鮮大学校研究院総合研究科卒業。在日朝鮮人3世という立場から、国家や民族に対する横断的な視点を足がかりに制作を展開している。古典絵画からの構図の引用や象徴的なモチーフを用いてマジョリティの文脈や構造にアプローチをかけ、コラージュなどの手法を用いて複層的な構造の平面作品を制作している。主な展示に「在日・現在・美術」展(2014)、武蔵美×朝鮮大「突然、目の前がひらけて」(2015)、「VOCA2020」(2020)、「平成美術:うたかたと瓦礫デブリ 1989–2019」(2021)、個展「記号の国」(2021)、個展「SIMULATED WINDOW」(2022)など。