金藤みなみ 映像作品上映会「あ・る・く」[ 4/4 (sat) – 4/5 (sun) ]


 

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先日、「第18回 岡本太郎現代芸術賞」への入選を果たした金藤みなみの映像作品上映会「あ・る・く」を、4月4日 (土)、4月5日 (日) の2日間にわたって開催します。

 

本上映会では、「岡本太郎現代芸術賞」出展のインスタレーション作品でも上映されている「SHIN-OKUBO Boomerang」をはじめ、金藤みなみを象徴する赤い三角形の被りものが登場する「Achela」「Reverce2」、女子美術大学在籍時に制作された「Haita」のほか、本上映会に向けて制作された新作「受精告知」など、計5本の映像作品を上映します。

 

金藤みなみは、これまでに、映像作品に限らず、消費によって削られる装いを反映させたパフォーマンスやインスタレーション、絵画などを制作。多彩な表現手段を用いる作家ですが、すべてに通底する自身の作家ステートメントを以下のように記しています。

「「スクラップされた痛みを着る」をテーマに、他者の身体イメージを恣意的に置換することによって、パブリックイメージがいかに切り刻まれ、構築されるのかをアートによって確かめます。身体は血がめぐるのと同様に日々消失し生まれ変わります。身体のイメージもまた、マスクが医療品からファッショントレンドやSelfie Cultureのマストアイテムとして発達したように、あらゆる他者から衝撃的に影響を受け、消失し、変化を繰り返しています。このように、《痛みを着る》ことによって、身体は私たちに私たちの抱える問題の重みを思い出させ、私たちの美意識がどのように生まれ、 どのように変化していくのかを確かめる装置なのです」

 

また、本上映会では、金藤みなみが学生時代にバーテンを務めていた「芸術公民館」の館長だった会田誠との対談、「第18回 岡本太郎現代芸術賞」にて、岡本太郎賞を受賞したYotta (ヨタ)、岡本敏子賞を受賞した久松知子との座談会という2つのトークプログラムも開催します。

 

 

TAV GALLERY STAFF

 

 

作家プロフィール

 

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金藤みなみ
赤い△のアーチスト

1988年徳島県生まれ。女子美術大学卒業、多摩美術大学大学院修了。消費によって削られる装いを反映させたパフォーマンスやインスタレーション、絵画を制作。主な個展に「黄金町車道ワーク」(2013年1月7日-20日 mujikobo [神奈川])、「THE DOUBLE KISS」(2013年9月21日-11月10日 あをば荘 [東京])。主なグループ展・参加プロジェクトに「反戦–来るべき未来に抗うために」展 (2014年9月25日-29日 SNOW Contemporary [東京])、「Zerodate Art Project」(2013年8月1日-10月30日 ゼロダテ [秋田])。主な受賞歴に「大舘/ゼロダテ ゼロ展 入選 (中村政人選)」(2012年)、「第18回 岡本太郎現代芸術賞 入選」(2015年) がある。

WEB : http://kintominami.com/

 

 

開催概要

 

名称 : 金藤みなみ映像作品上映会「あ・る・く」
会期 : 2015年4月4日 (土) – 4月5日 (日)
会場 : TAV GALLERY (東京都杉並区阿佐谷北1-31-2) [03-3330-6881]
時間 : 11:00 – 20:00
入場料 : 500円 (バッチ付き/再入場可)

 

 

プログラム (約1時間)

 

① Achela (11分29秒)
② Haita (11分33秒)
③ SHIN-OKUBO Boomerang (12分10秒)
④ Reverce2 (11分41秒)
⑤ 受精告知 (15分)[新作]

※ 毎時0分から上映開始。途中入場可。

 

 

関連企画

 

□ 4月4日 (土) 18:00 – 19:00

金藤みなみ × 会田誠 対談

※ トークイベントは、上映入場料のみでご参加いただけます。

 

会田誠 (あいだ・まこと)

1965年新潟県生まれ。91年東京藝術大学大学院美術研究科修了。ミヅマアートギャラリーでの個展を中心に国内外の展覧会に多数参加。近年の主な個展に「会田誠展:天才でごめんなさい」(森美術館、2012〜13年)、「考えない人」(ブルターニュ公爵城、ナント、フランス、2014年)、「世界遺産への道!! 〜会いにいけるアーティストAMK48歳」 (鹿児島県霧島アートの森、2014年)など。小説『青春と変態』(ABC出版、1996年/筑摩書房、2013年)、漫画「ミュータント花子」(ABC出版、1999年/ミヅマアートギャラリー、2012年)、エッセイ集「カリコリせんとや生まれけむ」(幻冬舎、2010年)、「美しすぎる少女の乳房はなぜ大理石でできていないのか」(幻冬舎、2012年)など著作多数。本年9月12日より新潟県立近代美術館にて個展開催予定。

 

□ 4月5日 (日) 19:30 – 20:30

金藤みなみ × Yotta (ヨタ) × 久松知子 座談会

※ トークイベントは 上映入場料のみでご参加いただけます。
※ 久松知子さんはSkype参加となります。

 

Yotta (ヨタ)

木崎公隆・山脇弘道からなる現代アートのユニット。現在、自分達のアイデンティティを顧みる「イッテキマスNIPON」シリーズを製作中。

2010 年 Yotta Groove ( ヨタ グルーヴ) 結成。
2010 年 “六本木アートナイト2010”(@六本木ヒルズ) にて「金時」発表。
2011 年 “おおさかカンヴァス2011”にて「花子」 発表。
2012 年 “六本木アートナイト2012”(@東京ミッドタウン) にて「花子」出展。
2013 年 Yotta G roove からYotta( ヨタ) に改名。

 

久松知子 (ひさまつ・ともこ)

1991年三重県生まれ。東北芸術工科大学大学院修士課程日本画領域在籍。山形県在住。主な個展に2014年「喜多方酒樽絵画etc.」(新宿眼科画廊、東京)など。主なグループ展に2014年「LITTLE AKIHABARA MARKET――日本的イコノロジーの復興」(A/D GALLERY、東京)など。2015年「レペゼン 日本の美術」で第18回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)にて岡本敏子賞、「日本の美術を埋葬する」で第7回絹谷幸二賞奨励賞を受賞。東北芸術工科大学チュートリアル「東北画は可能か?」に2011年より参加。

 

 

ステートメント

 

 

あ・る・く。

 

▶ 音を立てずに歩く習慣
私はほとんど音をたてずに歩く。
転勤族として育った上で得た技術である。
徳島の阿波踊りを毎夏楽しんできたこともこの歩き方のモチベーションとなっている。
この技術によって、大なり小なり上下階の人々の生活の静寂を乱さずにすむ。乱さずに歩くことによって、私自身の身体も単調なリズムをとりつづけることができる。この習慣は、普段見逃している身体と私たちを取り囲むモノとの間にあるものを見つけるきっかけとなった。

▶ モノとの間にあるものとは何か
椅子があると座ることができるように、服があると着ることができるように、
わたしたちはあらゆるものとの間に創造の余地を持っている。
静かに歩くと、私たちが立っているここをとりまくモノがたくさんの可能性を秘めていることに気づく。
足がどのように音をたてる可能性があるかを考え、床の温度にも気を配り始める。

しかし、上記のように集中している場合を除けば、歩行においては目的地点(場所)にあるモノやコトのことに目が行きがちだ。
ここ、から出発して、私たちはあらゆるかたちでリズムをとり、新しい遊びを発見できるのに。
モノとの間には遊びがある。
かづきもの(かぶりもの)で、静かに歩くことをより一層難しくしているのは、その遊びを浮かび上がらせるためだ。

▶ 客観的な身体
赤い△のかづきもので川を下る際、身体はどうなってるんですか、とよく問われた。
実は中腰である。そう、だから主観的にはちょっと腰はきついし息は苦しい。
しかし、客観的に、その姿を様々な人のビデオ記録や写真で確認するたび、笑い転げてしまう。
私がずっと遊んでるのは重力で、人間のかたちをなんとか変えようとすることは、私たちが普段私達のモノだと信じ切っている身体の、新たな可能性を思い出させてくれる。
歩行は3歩目には主観性を失う。意識せずとも目的地まで行為を続けることができるからだ。
しかし、1歩目、2歩目とバランスをとって集中しているときは、身体はあなたのものだ。
そして3歩目にきて主観を手放しそうになって、また1歩目に戻るような制限を加えればいい。
その制限によって、またかたちを変え、慣れ、また制限を考える。この繰り返しで、
箱の中の小石をゆすって確認するように、身体を客観的なものとして扱って遊ぶ。

▶ 客観的な身体で歩くことによって、拡張するべきものを見極める
今、私たちは身体のどこを改善し、拡張するべきだろうか。
何も誰もがアイフォーンをもたないといけないわけではない。
身体にかわいい制限をかけて、静かに歩行するというシンプルなゲームを達成することによって、私たちの可能性をより冷静に、いいかんじに見いだせるのではないだろうか。
私の作品はいつも、主観的には切実で、客観的には笑えて泣けて、チャーミング。
そういうものを作ることを、「あ・る・く」ことによって叶えていく。

 

 

金藤 みなみ