二藤建人 x 馬嘉豪「HOLMGANG」[ 12/8 (Fri) – 12/24 (Sun) ]
この度、TAV GALLERYでは二人の若手彫刻家、二藤建人と馬嘉豪による”抗争の身体化”をテーマにしたコラボ展「HOLMGANG (ホルムガング)」を開催いたします。二藤は触れえぬ他者との境界や、重量を可視化する表現者としてしられ彫刻作品を起点としながら写真や映像、インスタレーションなど幅広い表現方法で作品制作に取り組んでいる作家であり、TAV GALLERYには2018年に開催された美術家・高田冬彦との二人展「不可能な人」(2018)以降、約5年ぶりの出展となります。主な展覧会に「In a Grove」(LEESAYA、2020)、「ケアリング/マザーフッド:「母」から「他者」のケアを考える現代美術」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、2023)、「あいちトリエンナーレ2016」(東岡崎駅ビル3F、2016)など。また、近年では舞台美術のディレクションや、自らもパフォーマンス公演に参加するなど、彫刻と身体表現の関係性を積極的に模索しています。馬嘉豪は兵馬俑が発掘された中国西安出身の作家であり、膨大な人口数の下に潜む暴力性や違和感、アクチュアリティとその行方を人型の建築模型用のフィギアに圧縮した彫刻表現を行うアーティストとして知られています。2015年に来日以降、第4回CAF賞入選、第22回岡本太郎現代芸術賞入選。主な個展に、社会情勢を一文字で要約した「霾(バイ)」「燎(リャオ)」「諫(カン) 」(TAV GALLERY、東京) シリーズの個展など。公私共に影響関係にあったふたりが、初となる共作の新作映像作品を発表いたします。
作品の舞台はボーダレスな自然空間。彫刻表現の基礎的なメディウムである約150キロの水粘土で自己陶酔的な理想の姿に武装した二人は、お互いの粘土を奪い合い、飛ばしあい、一方が動かなくなるまで抗争を続けます。メイクシーンでは鏡の前でそれぞれの理想となる「変身」の形をメイクアップアーティストに告げつつ、私的な想いが交錯し、当人たちにも気づく事のなかった実存の姿があらわになり、次第に風景と同化していく二人は、歩幅と呼吸を合わせつつ、非合理な暴力を発露し合ったのちに、一つの塊へと物質化していきます。当作品は「奪い、奪われる」といった価値観の上に成り立つ営みを身体化し、反省的に検証することを目指して二藤建人によって創案されました。テーマの性質故か、随所でトキシック・マスキュリニティ(有害な男性性)とまで言われるようになった精神を根深く享受してきた世代の秘められた欲望が見え隠れします。男性同盟による評価を中心とした近代社会の歴史を反省すると同時に、マスキュリニティと「男同士の絆」への考察が促されます。闘争に内在する欲望の発露は、今日のパターナリズムの転倒の問題に通じ、いわずもがな世界的な紛争状況へ呼応し、多くの鑑賞者の”立ち位置”を揺さぶるきっかけとなるでしょう。初の試みとなる気鋭彫刻家、二藤建人と馬嘉豪の抗争の先に産まれた新たな絆に、是非ご注目ください。
佐藤栄祐
名称:二藤建人 x 馬嘉豪 「HOLMGANG」
会期:2023年12月8日(金)- 12月24(日)
会場:TAV GALLERY(東京都港区西麻布2-7-5 ハウス西麻布4F)[080-1231-1112]
時間:13:00 – 20:00
休廊:月、火
撮影監督:山本英
制作協力 : 伊藤快斗、上田理絵、長島奏理
協力:LEESAYA
レセプションパーティ:2023年12月8日(金)19:00 – 21:00
二藤健人 NITO Kento
1986年、埼玉県生まれ。同県在住。言語化し理解する過程で取りこぼしてしまう感情や感覚、現代において獲得しにくい「実感」を、自身の身体によって過剰なまでに体験することで追及する。代表作には、自身が一枚布の雑巾となり世界各地の街を拭き上げながら全身で都市を知覚し、その身に蓄積させていく「雑巾男」や、他者の重さを真下から両足で踏み締める装置「誰かの重さを踏みしめる」などがある。
【主な個展】
2022年 「REVOLVING GRAVITY」gallery N (愛知)
2021年 「私と世界を隔つもの」 LEESAYA(東京)
2020年 「catch the air」gallery N (愛知)
2018年 「ヘルニア」第1部《労働のエステティクス》gallery N 神田社宅(東京)
第2部《自由な落下のために》gallery N (愛知)
2017年 「たゝ゛吹き抜ける風」 Art Center Ongoing(東京)
2017年 「凍てつく雲のふわふわ」 gallery N 神田社宅(東京)
2015年 「私の愛は私の重さである。」gallery N (愛知)
2014年 「傘の内側に降る雨」 Antenna Media (京都)
2013年 「山頂の谷底に触れる」 gallery N (愛知)
2012年 「全身を以て認めざるを得ない|Red Porcupines」GALLERY TERRA TOKYO(東京)
2012年 「不測に向かって放り込む」トーキョーワンダーサイト本郷 (東京)
【主なグループ展】
2023年 「ケアリング/マザーフッド:「母」から「他者」のケアを考える現代美術」 水戸芸術館(茨城)
2022年 「AGAIN-ST ルーツ/ツール 彫刻の虚材と教材」 武蔵野美術大学 美術館・図書館(東京)
2022年 「中景: ActⅢ「岩は木のことを知らなかった。」」 TEZUKAYAMA GALLERY(大阪)
2021年 「Water/proof~移動する境界~」 小金井アートスポット シャトー2F(東京)
2020年 「Sustainable Sculpture」KOMAGOME SOKO(東京)
2020年 「髙橋銑|二藤建人|宮原嵩広『In a Grove』」LEESAYA(東京)
2019年 「引込線/放射線」第19北斗ビル、旧市立所沢幼稚園(埼玉)
2019年 「高田冬彦×二藤建人 『不可能な人』」TAV gallery(東京)
2017年 「自由の場所」京都精華大学(京都)
2017年 「引込線2017」所沢市第二給食センター(埼玉)
2017年 「のっぴきならない遊動」京都芸術センター (京都)
2016年 「中景 –The Glory (of phenomenon) : Act Ⅱ–」ホテルアンテルーム京都 gallery 9.5(京都)
2016年 「信州大学人文学部芸術コミュニケーション分野『友政麻理子と二藤建人』」
旧松本歩兵第五十連隊糧秣庫、awai art center(長野)
2016年 「NEW VISION SAITAMA Ⅴ 迫り出す身体」埼玉県立近代美術館(埼玉)
2016年 「あいちトリエンナーレ2016 虹のキャラバンサライ」東岡崎駅ビル3F(愛知)
2016年 「指導者の声は紙の擦れる音をかき消す程度には大きい。」gallery N(愛知)
2015年 「なるがままではいられない」22:00画廊(東京)
2015年 「第19回岡本太郎現代芸術大賞展(TARO賞)」川崎市岡本太郎美術館(神奈川)
2014年 「egØ -「主体」を問い直す-」 Punto(京都)
2013年 トーキョーストーリー第一章「今、此処」トーキョーワンダーサイト本郷(東京)
2013年 台湾・日本芸術文化交流事業「Do it yourself, Brain massage —可塑的な身体と術—」東京藝術大学(東京)
2013年 「FLUXUS FORECAST」The National Art Studio(韓国)
2012年 「青梅ゆかりの名宝展」 国立奥多摩美術館(東京)
【受賞歴】
2016 「岡本太郎現代芸術賞」入選
2011 「トーキョーワンダーウォール公募2011」審査委員長賞(立体・インスタレーション作品)
2011 「岡本太郎現代芸術賞」入選
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馬嘉豪 MA Jiahao
1996年生まれ。中華人民共和国西安出身。埼玉を拠点に活動。兵馬俑(へいばよう)を彷彿とさせる建築模型用の人体フィギアを圧縮させた彫刻作品を数多く発表。社会主義制度の問題を問う現代美術家の馬嘉豪(マ・ジャホウ)は異邦人として日本国のあり方を俯瞰的に読み解き、社会に生きる人々の共存の可能性を問い続ける。主な個展に「霾(PM2.5)」TAV GALLERY(東京)「Involution society」ARTDYNE GALLERY (東京)など。
【主な個展】
2022年 「諌」 TAV GALLERY
2022年 「シャトレーナガシマ」 ART DYNE
2021年 「Involution society」 ART DYNE
2020年 「燎」 TAV GALLERY
2018年 「霾(PM2.5)」 TAV GALLERY
【主なグループ展】
2022年 「ART NAGOYA」 名古屋観光ホテル
2021年 「3331 Art Fair」 3331 Arts Ciyoda
2021年 「你は何しに여기へ?」 TAKU SOMETANI GALLERY
2020年 「東京五美大展」 新国立美術館
2019年 「mid core」 TAV GALLERY
【受賞歴】
2020年 福沢一郎賞受賞
2019年 第22回岡本太郎現代芸術賞入選
2017年 第4回CAF賞入選