坪井久恵 個展「感情形式 Gefühlsform」[ 7/8 (fri) – 7/18 (mon) ]


 

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TAV GALLERYにて二度目となる批評家・飯盛希によるキュレーション企画、感情の形式を”顔”により描きだす作家、坪井久恵の初となる個展「感情形式 Gefühlsform」を、7月8日(金)から7月18日(月)まで開催致します。

 

坪井久恵は、一貫して顔を描き続けていること、また、それ等は個別性の感情ではなく全体性を意識して形づくられることから本展タイトルにはドイツ語の「Gefühl(感情)」が引用されました。本展開催にあたってキュレーター飯盛希は、坪井久恵について、次のように語っています。

 

「坪井にとって、感情の微妙なニュアンスは――その内容がポジティブであれネガティブであれ――主要な問題でない。中心化される形象のほかは排除し、それもまた、いわばイメージの二重化によって質的に捨象することで、むしろ形式 Form をこそ定立しようと試みる彼女は、主観的な表象にかかずらうことなく絵画を制作しているのである。」(本展ステートメントより)

 

本展では、坪井久恵の過去作品から新作までを一度に総覧して頂けます。初個展となる「感情形式 Gefühlsform」に是非お越し下さい。

 

 

TAV GALLERY STAFF

 

 

作家プロフィール

 

坪井久恵

1990年 神奈川県生まれ
2014年 武蔵野美術大学 油絵学科油絵専攻 卒業
2016年 武蔵野美術大学大学院 美術専攻油絵コース 卒業

 

[展示経歴]

2016年 個展「感情形式 Gefühlsform」(TAV GALLERY)
2016年 修了制作展「のみこめ」(武蔵野美術大学)
2015年 グループ展「昨日おきたいくつかのことがら」(イエローハウス)
2014年 卒業制作展「のみこめ」(武蔵野美術大学) ※研究室賞受賞

 

 

開催概要

 

名称 : 坪井久恵 個展「感情形式 Gefühlsform」
会期 : 2016年7月8日 (金) – 7月18日 (月)
会場 : TAV GALLERY (東京都杉並区阿佐谷北1-31-2) [03-3330-6881]
時間 : 11:00 – 20:00
休廊 : 無し

キュレーター : 飯盛希

Opening Party : 2016年7月8日(金)18:00 – 20:00

 

 

ステートメント

 

 

坪井久恵の制作を、そして画面のほとんどを占めているモチーフは、人物の、とりわけ正面の顔であり、ときにそれを覆ったり、煙草をもっていたりする手が書き加えられるのみである。それが――彼女自身のものか、あるいは抑圧されている人びとに思いを馳せてか、いずれにせよ――感情 Gefühl にかかわっていることはまちがいないのだが、無数に作成されるドローイングは、いずれも定型的であり、類似したイメージの反復である。卒業および修了制作展においては、一連の小作品が壁一面に並置され、その余白に言葉が添えられるなど、組写真に類するしかたで、ひとつの総体として呈示されたのだが、それもまた彼女の絵画が、ある種の全体性にかかわっていることを明示していた。

一方、坪井の大作を特徴づけているのは、極端なレイヤーの希薄さである。それにもかかわらず――というより、それゆえにこそ――階調ゆたかな色彩が実現されているのは、地塗りの段階でさまざまな色を塗布しているらしいのだが、そのカラフルな素地が透けて見えるからである。つまり彼女は、ほとんど絵具を塗り重ねず、キャンバスの上で試行錯誤しない。それを保障しているのは、反省的な手続きによるイメージの彫琢である。ドローイングのなかからいくつかを選別し、それに基づいて大作が描かれるのだが、つぎの一筆が躊躇われるときには、ふたたびドローイングの展開をくり返すというふうに、ふたつのプロセスを何度も往復するのである。

大胆な描線は、およそ感情の複雑さや、その表現の困難さを物語るものではないし、あまり緻密とは言えない筆致に比して十分過ぎるくらい大きな画面もまた、内的な心象を「等身大」に描く意図とは無縁であることを示唆している。坪井にとって、感情の微妙なニュアンスは――その内容がポジティブであれネガティブであれ――主要な問題でない。中心化される形象のほかは排除し、それもまた、いわばイメージの二重化によって質的に捨象することで、むしろ形式 Form をこそ定立しようと試みる彼女は、主観的な表象にかかずらうことなく絵画を制作しているのである。

 

 

飯盛希

 

 


[参考画像]

 

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