「Faketopia」[ 6/23 (fri) – 7/7 (Fri) ]
NY在住のアーヴァンギャルドな映像作家5名を一挙紹介。映像芸術を専門とする若手キュレーター、中井澪のTAV GALLERY初のキュレーション企画「Faketopia」を6月23日(金)から7月7日(日)まで開催いたします。
フェイク・トピアと題した今期の展覧会では、虚構と曖昧さを持つ映像作品集への真価に迫ります。Bradley Eros(ブラッドリー・エロス)、Elektra KB(エレクトラ・ケービー)、Jason Akira Somma(ジェイソン・アキラ・ソマ)、Joel Schlemowitz (ジョー・シュラマウェッズ)、M.M.Serra(エム・エム・サラ)の計5名による映像作品の殆どが日本初の公開となります。
本展のメインビジュアルを担当するウクライナ出身のElektra KBは「水は私たちを象徴する物理的かつ象徴的な鏡」といったコンセプトを元に、2017年のSpring/Break Art showにて展開したインスタレーションを再現いたします。開催にあたり「Faketopia(フェイク・トピア)」について、本展のキュレーターである中井澪は下記のように述べています。
「今日の映像作品はデジタル素材やインターネットと言ったニューメディアを駆使して表現された作品が多い。高精細なイメージによってリアリティを追求すると共に、自由な加工を施し、まるで本当であるように見せてしまう曖昧な世界だ。本展のタイトル「Faketopia」は、そのような拡張され繁殖し続けるイメージが私たちの世界を取り囲み、そして本来の存在を超え、新たな世界を創造しているのではないかという示唆を含む。それは果たしてユートピアあるいはディストピアなのか。」
尚、24日(土)には『辺境のフォークロア』の著者で知られる映像作家・金子遊と出展作家Joel Schlemowitzによるトークイベント「ニューヨークの映像の現在」を開催します。国際的な活躍をみせる中井澪が呈示する『Faketopia』に是非、ご注目ください。
TAV GALLERY STAFF
開催概要
名称 : Faketopia
会期 : 2017年6月23日 (金) – 7月7日 (金)
会場 : TAV GALLERY (東京都杉並区阿佐谷北1-31-2) [03-3330-6881]
時間 : 13:00 – 20:00
休廊 : 水曜、木曜
出展者 : Bradley Eros, Elektra KB, Jason Akira Somma, Joel Schlemowitz, M.M. Serra
キュレーター : 中井澪
Opening Party : 2017年6月23日 (金) 18:00 – 20:00
TALKE EVENT : 2017年6月24日(土) 19:00 – 20:00 / 金子遊 x Joel Schlemowitz『ニューヨークの映像の現在』[入場料1000円]
ステートメント
中井澪
1960年代、アメリカではあらゆる芸術が前衛を追求し、いたるところで上映会や朗読・ハプニング・実験音楽の演奏会が行われていた。特にニューヨークはアンダーグラウンド映画を牽引する”前衛の中心”であった。1962年ジョナス・メカスがフィルムメーカーズ・コーポラティブを設立し、アンダーグラウンド映画の上映を行うようになり、65年にはニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチにてメカスのアメリカ初個展が開催された。また60年代半ばからマルチ・プロジェクションによる映像投影「エクスパンデッド・シネマ」が盛んに行われ、60年代後半からはアンディ・ウォーホルを始め数多くのアーティストたちが実験的な映画を撮り始め、従来の映画の概念を覆し映画の根本を問い直す機会となった。こうした取り組みによって映画を超えた独自の視覚表現が開拓され、影響力を持ちながらムーブメントとして可能性を広げていったのだ。
今日の映像作品はデジタル素材やインターネットと言ったニューメディアを駆使して表現された作品が多い。高精細なイメージによってリアリティを追求すると共に、自由な加工を施し、まるで本当であるように見せてしまう曖昧な世界だ。本展のタイトル「faketopia」は、そのような拡張され繁殖し続けるイメージが私たちの世界を取り囲み、そして本来の存在を超え、新たな世界を創造しているのではないかという示唆を含む。それは果たしてユートピアあるいはディストピアなのか。
本展では、ニューヨークの映像作家たちが今、何を考え映像を追求しているかに迫る。Bradley Eros, Elektra KB, Jason Akira Somma, Joel Schlemowitz, M.M. Serraの5人は、それぞれ異なる映像メディアを用いて、数々の美術館やギャラリーなどで精力的に作品を発表している映像作家である。
1966年、草月アートセンターで開催された「アンダーグラウンド・シネマ:日本―アメリカ」を皮切りに日本でもアメリカのアンダーグラウンド映画が紹介され普及するようになった。あれから約50年がたった今、ニューヨークの映像はどのような進化を遂げたのであろうか。虚構と現実の境界をうろうろと徘徊するような彼らの映像作品の中で、私たちのリアルが一体何であったかを問い直す。
注 *1 西村智宏、金子遊『アメリカン・アヴァンガルド・ムーヴィ』
アーティストプロフィール