齋藤帆奈 “Eaten Colors”ーー『ポスト人新世の芸術』出版記念展 [ 8/3 (Wed) – 8/5 (Fri) ]
この度、TAV GALLERYでは齋藤帆奈 “Eaten Colors”ーー『ポスト人新世の芸術』出版記念展を開催いたします。
2022年6月に美術出版社より発売された、美術史学者・山本浩貴による「ポスト人新世の芸術」の表紙にアーティスト、研究者の齋藤帆奈によるバイオ・アート作品「食べられた色 “Eaten Colors”」が起用された事を記念し「食べられた色 “Eaten Colors”」シリーズの作品と過去作品を中心とした個展と並行して、山本浩貴と齋藤帆奈を中心に3名のゲストを招いたトークイベントを開催いたします。食べられた色 “Eaten Colors”とは、2020年に旧TAV GALLERYで開催されたノンヒューマン・コントロールに出展された齋藤帆奈によるバイオ・アート作品。食用色素に染められた食物を粘菌が食べ、自身の身体で色を運び、広げていくといった実際に生きた粘菌が使用されたバイオ・アート作品です。
「ポスト人新世の芸術」は、美術史や文化研究で支配的な「人間を中心に据えた視点」を脱却し、人類という種を相対化した目線から、芸術の歴史を捉え直すことに挑戦した単書です。
人類の活動が地質学的にも重大な影響をもつようになった「人新世」とも称される現世代で、アーティストは自然をどう解釈し、次世代に何を問うのかを、吉田真理子(広島大学大学院人間社会科学研究科助教)、宮川敬一(Gallery Soap)、卯城竜太(Chim↑Pom from Smappa ! Group)をゲストにお呼びし「ポスト人新世」について語ります。日本の現代アートシーンの最前線で活動する各氏から発せられる言葉に、是非、ご注目ください。
TAV GALLERY STAFF
開催概要
名称 : 齋藤帆奈 “Eaten Colors”ーー『ポスト人新世の芸術』出版記念展
会期 : 2022年8月3日 (水) – 8月5日(金)
会場 : TAV GALLERY (東京都港区西麻布2-7-5 ハウス西麻布4F) [080-1231-1112]
一般公開 : 13:00 ~17:00 (無料)
トークイベント : 18:00-20:00 (予約優先)
8 月 3 日 齋藤帆奈×山本浩貴x吉田真理子(広島大学大学院人間社会科学研究科助教)
8 月 4 日 齋藤帆奈×山本浩貴×宮川敬一(gallery soap)
8 月 5 日 齋藤帆奈×山本浩貴×卯城竜太(Chim↑Pom from Smappa!Group)
予約フォーム : https://forms.gle/p4n8358juAGU6AGj6
入場 : 2000円(3回通し券5000円)
協力 : 穂原俊ニ(イーストプレス)、美術出版社
主催:一般社団法人TAV
アーティスト ・ プロフィール
齋藤帆奈 SAITO Hanna
アーティスト。多摩美術大学工芸学科ガラスコースを卒業後、metaPhorestに参加し、バイオアート領域での活動を開始。現在は東京大学大学院学際情報学府博士課程に在籍(筧康明研究室)。理化学ガラスの制作技法によるガラス造形や、生物、有機物等を用いて作品を制作しつつ、研究活動も行う。近年では複数種の野生の粘菌を採取、培養し、制作と研究に用いている。主なテーマは、自然/社会、人間/非人間の区分を再考すること、表現者と表現対象の不可分性。主な展覧会に「ノンヒューマン・コントロール」(TAV GALLERY, 2020)、「生態系へのジャックイン展」(見浜園, 2021)、「オー プン・スペース2021 ニュー・フラットランド」(ICC, 2021-2) など。
ゲスト ・ プロフィール
山本浩貴 YAMAMOTO Hiroki
文化研究者、アーティスト。1986年千葉県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、ロンドン芸術大学にて修士号・博士号取得。2013~2018年、ロンドン芸術大学トランスナショナルアート研究センター博士研究員。韓国・光州のアジアカルチャーセンター研究員、香港理工大学ポストドクトラルフェロー、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科助教を経て、2021年より金沢美術工芸大学美術工芸学部美術科芸術学専攻講師。単著に『現代美術史 欧米、日本、トランスナショナル』(中央公論新社、2019年)、『ポスト人新世の芸術』(美術出版社、2022年)、共著に『トランスナショナルなアジアにおけるメディアと文化 発散と収束』(ラトガース大学出版、2020年)、『レイシズムを考える』(共和国、2021年)、『東アジアのソーシャリー・エンゲージド・パブリック・アート 活動する空間、場所、コミュニティ』(ベーノン・プレス、2022年)など。
吉田真理子 Mariko Yoshida
文化人類学者。研究の関心は環境人類学、海洋変化と情動、水産コモディティチェーン、マルチスピーシーズ民族誌。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科、コロンビア大学大学院(フルブライト奨学生・人類学部最優秀論文賞受賞)、ドイツ国連大学・環境と人間の安全保障研究所、オーストラリア国立大学クロフォード公共政策大学院・環境管理と開発プログラムを経て、2021年より広島大学大学院人間社会科学研究科(助教)。
海洋酸性化や海水温の上昇による生態系への影響、養殖従事者の減少と高齢化、水産物消費の変化やバイオテクノロジーの課題など、牡蠣のサプライチェーンで多層化する不確実性や不安定性についてマルチサイテッドな調査を行う。マガキ、養殖漁業者、海洋生態・生理学者、卸・仲卸業者、バイオテクノロジーベンチャー、ウイルスや微生物など、異種混淆のアクターの絡まりあいを通して、人新世や資本新世における共生とは何かを捉えなおす研究を行なっている。主な国内出版物に『食う、食われる、食いあう マルチスピーシーズ民族誌の思考』(青土社)、『新型コロナウイルス感染症と人類学−パンデミックとともに考える』(水声社)など。2023年に広島の海底耕うん事業を考察したブックチャプター論文が米国の大学出版社より刊行予定。
宮川敬一 Keiichi Miyakawa
宮川は1997年より北九州のアーティストランスペース GALLERY SOAP のディレクターとして、数多くの展覧会や音楽イベント、上映会、シンポジウム等を企画している。また、オンラインプロジェクト、キャンディファクトリープロジェクトの古郷卓司、東京藝術大学教授の毛利嘉孝等と共同で2007年から2016まで北九州ビエンナーレを主催。2011年からはアーティストの佐々木玄、中国のキュレーター ニークンとアジア地域のアーティストや研究者等と共同で企画される中国、台湾、タイ、インドネシア、日本を巡回するアートプロジェクトHOTEL ASIA PROJECTを企画している。GALLERY SOAPで企画した主なアーティストはDan Graham (USA), Peter Halley (USA), Philip Horst (Germany), Federico Baronello (Italy), Jesper Alvaer (Norway), candy factory (Japan)、藤浩志 (Japan)、江上計太、大友良英、足立正夫、森山安英など多数。
卯城竜太 Ryuta Ushiro
1977年東京都出身。Chim↑Pom from Smappa!Groupのメンバー。Chim↑Pom from Smappa!Groupは、2005年に東京で結成されたアーティストコレクティブ。2018年までリーダーを務めた。美学校でのクラス「天才ハイスクール」をはじめ、新宿WHITEHOUSEでのキュレーション、「ダークアンデパンダン」の主催、「ReFreedom_Aichi」など、オーガナイザーとしての活動や執筆をしている。2022年、Chim↑Pom from Smappa!Groupとして2021年に森美術館での大規模な回顧展が開催された。7月に初の単著『活動芸術論』(イーストプレス)を刊行、ほか松田修との共著に『公の時代』(朝日出版社、2019年)、Chim↑Pomとして『なぜ広島の空をピカッとさせてはいけないのか』(阿部謙一との共編著、無人島プロダクション、2009年)、『芸術実行犯』(朝日出版社、 2012年)、『都市は人なり』(LIXIL出版、2017年)などがある。