武田龍 個展「Devonian Touch」[ 10/25 (Fri) – 11/16 (Sat) ]


 

 

この度、TAV GALLERYでは画家・武田龍の個展「Devonian Touch」を開催いたします。

武田龍は1989年茨城県生まれ。2016年武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業。幼少期の触覚的経験の再起と象形文字の起源を辿る、注目の新たな抽象表現の作家です。写真、映像表現、パフォーマンスなど様々なメディアを扱ったのち、近年では絵画作品を中心に発表しています。主な展示にDrawing( Lavender Opener Chair,2023,東京), HANNAH(parcel, 2024,東京)など、飛躍的に展示機会を増やしているなか、当展は武田が海岸線をあるいた経験を元に、地質学的観点を文脈化した新作を一挙にご紹介いたします。

武田の制作過程は、層を重ねたり、ひっかいたり、偶発的な介入を通して行われます。これらのイメージはあらかじめ計画されたものではなく、素材との相互作用の中から自然に現れキャンバスの表面は、まるで記憶や感覚、無意識の思考の断片を発掘するかのような視覚的な考古学の場として機能しています。記憶の断片にあるイメージと結びついては崩れるといった、鑑賞者の視点によって変容するイメージが構築されます。田舎の森で幼少期に過ごした経験が、彼の多くの作品に影響を与えており、その質感や匂い、音の記憶が制作過程に影響を及ぼすなかで、武田の抽象的なイメージは、決して直接的な解釈を許さず、はっきりとしたカテゴリーに収まることを拒みます。

武田の絵画が他の作家たちと一線を画すのは、その作品が既存の抽象表現の枠組みに収まることを拒絶している点です。他の抽象作品が何らかの形で認識可能なフォルムやジェスチャーに向かう一方で、武田の絵画はそれらの制約を超え、絵を描くという行為そのものが無意識の領域へと進みます。彼の大胆かつ直感的な色彩とテクスチャーのアプローチは、観る者と作品との間に既視感のある経験と実態的な経験の関係を生み出し、単なる視覚的な消費を超えた体験を促します。

描かれたイメージは意図的なデザインではなく、素材や経験の潜在的な可能性からイメージを引き出します。彼の制作過程は、偶然から意味が生まれる古代の技法、たとえば甲骨文字や土器の割れ目を既視感を持って思わせますが、必ずしもその解釈が絶対とはならない技巧的な仕掛けが施されています。記憶の断片を横断していく武田龍の個展「Devonian Touch」にご期待ください。

 

 

佐藤栄祐 TAV GALLERY


開催概要

名称:武田龍 個展 Devonian Touch
会期:2024年10月25日(金)- 11月16(土)
会場:TAV GALLERY(東京都港区西麻布2-7-5 ハウス西麻布4F)[080-1231-1112]
時間:13:00 – 20:00
休廊:日、月

レセプションパーティ:2024年10月25日(金)19:00-21:00
※11/2日(土)はアートフェアのため臨時休廊

 


 

武田 龍  Ryu Takeda

1989、茨城生まれ
2016、武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業

主な個展
2023「Drawings」LAVENDER OPENER CHAIR、東京
2023「Griffin」LAVENDER OPENER CHAIR、東京

主なグループ展
2024「GROUP SHOW: 4 ARTISTS」KOSAKU KANECHIKA 、東京
2024「HANNAH」parcel、東京
2014「国立奥多摩美術館〜13日間のプレミアムな漂流」国立奥多摩美術館、東京

 


 

All Photography by 坂井理