えだまめ 個展「私、変身してみるね?」[ 4/22 (wed) – 4/26 (sun) ]
「女の子の可愛いは女の子にしか作れない」を活動テーマに掲げる写真家・えだまえの個展「私、変身してみるね?」を、4月22日 (水) より4月26日 (日) まで開催します。
えだまめは、これまで、ポータルメディア「KAI-YOU.net」にて「みんなの”イヤ”を”カワイイ”にする」を連載するなど、インターネット上を中心に作品を発表してきましたが、本展は自身初となる個展であり、本展には、個展用に撮り下ろされた作品のほか、先の活動テーマを掲げた、これまでの1年間に撮った作品の中から精選したものを展示します。
被写体となるモデルには、非常階段とのコラボや、POLYSICSの楽曲提供によるシングルリリースなどで注目を集めるニューウェーブアイドルグループ・ゆるめるモ!・あの のほか、凪紗、たなか、篠崎瑞希、もぐ、しまりすちゃん、micha、などと、同世代の友人といった女の子たちの等身大の姿が写し取られています。
活動テーマにも通ずる、今回の個展テーマについて、本展にあたって執筆された「あいさつとステートメント」のなかで、えだまめは、次のように語っています。
「学校の集合写真、友達が急に撮ってくる写真、家族写真、写真館で撮る写真、どれもなんかイヤ。だけど、自分の携帯で撮った写真は好き。インカメラで撮った写真はもっと好き。プリクラも好き。ツイッターで憧れてるあの子を撮ってる写真家さんが撮ってくれるなら、本当に嬉しい。女の子ってもしかしたら、心の中では、そんなこと考えてるのかもしれない。だって、可愛くなりたいから。可愛く変身したいから」
1991年生まれのえだまめは、同時代的に経験していませんが、「女の子の可愛いは女の子にしか作れない」という活動テーマからは、「女の子写真」「ガーリーフォト」と呼ばれた、1990年代半ばからはじまり、2001年のHIROMIX、長島有里恵、蜷川実花の木村伊兵衛写真賞同時受賞が大きな話題となりピークに達した、若い女性写真家たちのムーブメントが想起させられます。
えだまめも彼女たちのように、写真をコミュニケーションツールかのように使用し、可愛い表情だけでなく、時に不安感で押しつぶされそうになっているように見える、自分を見て欲しい、今の自分を残したい、という女の子たちの強い意識を写し取っています。
先の「あいさつとステートメント」のなかで「半強制的な露出や性的な被害のせいで被写体活動を辞めていく、ネットアイドルや被写体活動をしている女の子達を守りたいだなんて、大それたことを言いながら、ずっと女の子ばかりを撮ってきました」とも語るなど、えだまめ本人は意図せずとも、1990年代半ばの閉塞的な社会状況に近い感覚を、2015年現在に抱いているのではないでしょうか。
「私、変身してみるね?」と題した本展では、えだまめの肯定感や幸福感を与える「女性原理的」な写真によって、同時代の女の子たちにキラキラとした魔法がかけられます。「女の子写真」「ガーリーフォト」と呼ばれたムーブメントが、普遍化したと言える現在においてこそ、「女性原理的」な写真の意義と可能性を捉え直します。
TAV GALLERY STAFF
作家プロフィール
えだまめ
1991年5月4日生まれ。フリーのカメラマン、デザイナー、たまにイラストレーター。「女の子の可愛いは女の子にしか作れない」をテーマに、人物写真をメインに活動。「KAI-YOU.net」にて「みんなの”イヤ”を”カワイイ”にする」連載中。本展「私、変身してみるね?」は、自身初の個展である。
Tumblr : http://girlmakesgirl.tumblr.com/
Twitter : https://twitter.com/girlmakesgirl
Mail : girlmmmgirl@gmail.com
開催概要
名称 : えだまめ 個展「私、変身してみるね?」
会期 : 2015年4月22日 (水) – 4月26日 (日)
会場 : TAV GALLERY (東京都杉並区阿佐谷北1-31-2) [03-3330-6881]
時間 : 11:00 – 20:00
モデル : あの (ゆるめるモ!)、凪紗、たなか、篠崎瑞希、もぐ、しまりすちゃん、micha、ほか
あいさつとステートメント
わたしが「女の子の可愛いは女の子にしか作れない」というテーマを掲げて写真を、インターネットで発表し始めてからあっという間で、一年が経とうとしています。
18歳の時、物心つく前からの夢だった「イラストレーター」になるという夢を叶えるために、千葉から東京へと、専門学校への入学を機に単身上京しました。家賃こそ祖母に甘えていたものの、生活費はすべて実費。学校の課題にかかる画材代や食費、遊びたい盛りの気持ちと夢を何がなんでもあきらめたくないという泥臭い気持ちがひしめいて、夜中に泣きながら絵を描いていたのをよく思い出します。
そうして何とか手にいれたゲーム会社入社という切符でしたが、わたしはそれを一年ほどであっという間に手から放してしまいました。
ただただ18歳の頃から「イラストレーターになってやる」という精神だけで馬車馬の様に駆け抜けてきたわたしは、新しい環境に中々慣れることが出来ず、糸が切れた人形のように、新社会人というレールから脱落してしまったのです。
両親も祖母もひどく落胆しました。
幼少期から一つの夢だけを追いかけ、美術教師だった亡くなった祖父の後押しも有り、親戚一同からサラブレッドと言われ、わき目も振らず、言うことも聞かず、絵だけを描いてきた子が、実家へみっともない姿で帰ってきたのですから。
わたしはすっかりそうやってゲーム会社をやめてしまった、夢を投げ捨ててしまった自分にもほとほと呆れ、そんなわたしに呆れる親親戚にも申し訳なく思い、引きこもる生活を始めました。
一年ほど、時々アルバイトをしたりしながら暮らし、そうしたころ、ふと、16歳の頃から好きだったカメラのことが気になり出しました。
引きこもりだった私を家から出す口実は、カメラがちょうどよかったのです。
そこから私は、再びイラストの仕事を外注で請負いながら、デザイン業務もし、空いている時間に写真を撮るようになりました。
拙い作品が少しでもよくなるよう、モデルを何度も友人に頼みました。
そこからは窓が開いて風が吹き込むようでした。
わたしは気が付いたらここに居たのです。
半強制的な露出や性的な被害のせいで被写体活動を辞めていく、ネットアイドルや被写体活動をしている女の子達を守りたいだなんて、大それたことを言いながら、ずっと女の子ばかりを撮ってきましたが、
ほんの少しでも、わたしのような考え方に共感をしてくれる人や、存在を知ってくれる人が、この一年で増えたりして下さったのでしょうか。
もしも数人でもいてくれるなら、わたし活動をしていてほんとうによかったな。
なんのコネクションも写真界隈の友人もいない中飛び込んだわたしに、友人らしい友人もおらず、孤立し、寂しい思いをすることもたくさんありました。
けれどその度、写真を見て下さった方、数少ないカメラ友達となってくれたインターネットの友達、そして何よりも、モデルになって、そして友人にもなってくれた子達に支えられてまずは一年、ここまでやってこれました。
フォロワー2000人を記念しての初個展。
正直、不安しかありません。
けれど、少しでも「見にいこうかな」とわたしに興味を持って下さっているあなたのために、今回の個展のテーマについて、少しお話したいと思います。
「私、変身してみるね?」
学校の集合写真、友達が急に撮ってくる写真、家族写真、写真館で撮る写真、どれもなんかイヤ。
だけど、自分の携帯で撮った写真は好き。インカメラで撮った写真はもっと好き。プリクラも好き。
ツイッターで憧れてるあの子を撮ってる写真家さんが撮ってくれるなら、本当に嬉しい。
女の子ってもしかしたら、心の中では、そんなこと考えてるのかもしれない。だって、可愛くなりたいから。可愛く変身したいから。
えだまめの初個展「私、変身してみるね?」は、わたしの個展用に撮り下ろした写真と、一年間撮った作品の中から抜粋したものを展示する、写真展です。
非日常の様な世界の中で笑う彼女たちは、ほぼ全員が日々の暮らしからは切り取られたような表情や服装をして、全身で「女の子らしく、可愛らしく」写真に写っています。
それが、日常を証明写真のように淡々と暮らしている私たちにはとても眩しくて、切なくて、うらやましくて、「あの子みたいになりたい」と、憧れを産んでいるのではないでしょうか。
だって、毎日はとても悲しくて、制服は毎日変わらないし、その気になったって平行二重は中々手に入らないし、あの子みたいにしょっちゅう写真撮ってくれる人もいないし……。
ですが、わたしはその、「あの子みたいになりたい」は、選ばれた人間にしかできないことではなく、努力すれば誰にでも「変身」する機会はあると思うのです。
その機会のお手伝いをするのが、私のような、駆け出しカメラマンの仕事でもあると思っています。
「私、変身してみるね?」
今回は、わたしが一年かけて声をかけさせて頂いた素敵なモデルさんたちに、お手本として先に変身してもらいました。
とっても可愛いくって、とってもキラキラしてると思います。
わたしのカメラでもわかるくらい。
だからきっと。次はあなたが、あの子みたいに、変身してみましょう。
にらめっこしてる携帯をベッドに放り投げて、TAV GALLERYへ予習にいきましょう!
えだまめ