DELTA ART FAIR 2021 [ 11/26 (Fri) – 11/28 (sun) ]


 

 

時代の感性を反映した絵画は、ある種の共感によって成り立っています。その魅力は、ひと目で感覚的に把握することができ、説明するには及びません。しかし一方で、理解するためには努力を要する作品もあります。とりわけ特殊な経験や歴史が参照されている作品では、そのコンテクストを読解することが求められますが、その鍵となるのが「素材」です。

物質的な材料に限らず、絵画のモチーフなど、作品を構成するものを広く「素材」と捉えれば、アーティストが何を背景に、どのような構想を経て、何を提示しようとしているのかを「素材」のもつ情報を手がかりに辿っていくことができるでしょう。

本展では、熊倉涼子と水木塁の2名による作品を紹介します。

熊倉は、歴史のなかで生み出されてきたアドホックなイメージを編集し、さまざまな描写方法を用いながら、人類がどのように世界を表象してきたかについて問うています。水木は、雑草などの植物に注目し、都市というシステムにおける自然と人為の関係を、舗装された道路を再現した画面上でパターン化しています。

「素材」は必ずしもアプリオリな条件ではなく、目の前の作品から「何が素材か」と思いを巡らせることも可能です。二人の作品を通じて「素材」について改めて考える機会を提供できればと考えております。

 

 

飯盛希

 

開催概要

 

会期:2021年11月26日〜28日(招待制のプレビューは25日)
会場:シーサイドスタジオCASO
住所:大阪市港区海岸通2-7-23
開催時間:26日 14:00~20:00、27日 12:00~19:00、28日 12:00~18:00

https://delta-art.net/

 

出展作家

 

熊倉涼子 KUMAKURA Ryoko

1991年東京生まれ。2014年に多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業。現在、東京を拠点に活動している。歴史の中で人々が世界を理解しようとする過程で生まれたイメージを元に、絵画を制作。あるひとつの事柄に対して多面的な視点で図像を集め、それを元に作品を構成している。そのようにして同じものに関する性質の異なるイメージを等価に扱うことで、正しさの脆さを提示する。また、写実的な描写や落書きのような線などの複数の描写法を混ぜたり、画中画やだまし絵の手法を用いることで、視覚的にも揺さぶりをかけ、目に見えるものとは何かを問う作品を制作している。主な展示に2019年 個展「coniunctio」(帝国ホテルプラザMEDEL GALLERY SHU/東京)、2018年 個展「Pseudomer」(RED AND BLUE GALLERY/東京)、2018年「DI-VISION/0」熊倉涼子・永井天陽二人展(TAV GALLERY/東京)など。2019年「群馬青年ビエンナーレ」に入選。

 kumakuraryoko.tumblr.com


 

水木塁  MIZUKI Rui

1983 年京都府生まれ、現代美術家。2006 年に京都市立芸術大学・美術学部工芸科・漆工専攻を卒業、2016 年に京都市立芸術大学大学院・美術研究科博士後期課程修了、博士(美術)学位を取得。「労働」「幻覚」「他者」「交差」「同化」「異化」といったキーワードから都市文化と美術史上の問題を接続することで、現代における都市のリアリズムと感性を主なテーマにしている。とりわけ近年は都市環境下における「自然」の定義を「人間のアクティビティーの彼岸」として捉え、それをモティーフにさまざまなメディアを用いて作品の展開をしている。

http://mizukirui.net/