オートモアイ 個展「Permanent Boredom」[ 6/16 (sun) – 6/30 (sun) ]
オートモアイは顔の無いヒトを描く。現実認識に閉じ込められたヒトと、ヒトとの関係性の中で。
オートモアイを語るには、まずは未だ東京に存在する治外法権の歴史と、無慈悲に拡張現実への侵食を余儀なくされたデジタルネイティブ世代の性質を明確に区分した後に、複合的、かつ其れが一つの未来を予兆する形に留めるためには、慎重に言葉を選ぶ必要がある。また、現在までに制作コンセプトの中枢を担っていた「アノニマス=匿名性」は、論理的に成立不可能であった事を前提に、インターネット・ブラウザから観る知覚的に描かれた地上絵の様な作品たちは、既にオートモアイの手によって制作をされていた事、物質と非物質的な情報が混在する現実の世界にアーカイブされ続ける事を条件に、一つの未来を予兆する象形記号としてアノニマスに存在し得る可能性を大いに秘めている。
この文章ではオートモアイが描く作品に現れる人間を象った記号を、匿名性を表す象徴記号へと変換させていく為に「ヒト」と呼ぶ事にする。
富士山をスニッフするヒト、服を脱ぐと胸にピクトグラフがあるヒト、JUST DIEと描かれた大手ブランドのTシャツを着たヒト、それぞれの作品には一時代的な潮流を表すモチーフが使用されており、それ等を取り扱うヒトビトは時間や死生観のない空間に浮遊している。それ等の空間は一種、ドメインの持ち主が恣意的に作り上げた出口のない仮想現実と近く、カンバスの様に四辺の制限を設けなければ、無限の拡張性を持ち続けてしまう。しかしながら、その空間にはオートモアイと関わった人間にしかわからない、特定の文化圏での出会いや切望、人間と人間同士でしか解る事の出来ない無数のコンテクストが散りばめられている。ここで考えられるのは、オートモアイが生み出す作品は個人的な体験を基にした記録としてのアウトプットではなく、それ等は未だ形骸化される事のないストリート・カルチャーとの接触による暗黙の領域を可視化したものであると言える。インターネット上での展開や様々な企業体とのコラボレーションを通し、「アノニマス=匿名性」が成立可能な状態になるまで、作品と名乗った契約書をストリートとインターネットが一つの現実に纏められ得るこの世界にばら撒き続けているのだ。
形骸化された文化を語る虚構さを理解した上で、世界が続く限り無くなる事のないストリートから産まれる文化に敬意を込めた上で、言葉を省きこの文章をまとめるのであれば、オートモアイは人との文明の制作を可能にする「契約」がまだ可能である事を知っている。しかしながら、インターネットは「人」もしくは「ヒト」を不死にさせてしまったのだ。オートモアイの描く空間は、現実認識に浮遊するもう死ぬことすら出来ない我々は、毎日が退屈で退屈で、仕方がないのだ。現実認識の視差は、死への探求を緩和させる事も、我々が同じ人間であった事も思い浮かべさせる事はない。はらわたが煮え繰り返るほどのこの退屈な日々が、いつの日か、アノニマスとの「契約」によって締結されるその日まで。
TAV GALLERY STAFF
開催概要
名称 : オートモアイ 個展「Permanent Boredom」
会期 : 2019年6月16日 (日) – 6月30日 (日)
会場 : TAV GALLERY (東京都杉並区阿佐谷北1-31-2) [03-3330-6881]
時間 : 13:00 – 20:00
休廊 : 水曜、木曜
協力 : 柴田さやか
レセプションパーティ : 6月16日 (日) 18:00 – 20:00
アーティストプロフィール
オートモアイ / Automoai
[主な個展]
2019 「Permanent Boredom」(TAV GALLERY、東京)
2018 「unknown window」(OPPA-LA、神奈川)
2018 「FAITHLESS」(VOYAGE KIDS、大阪)
2018 「THIS CAN’T BE LOVE」(ANAGRA、東京)
2018 「Endless Beginning」(OVER THE BORDER、東京)
2017 「NOWHERE」(Impact HUB Tokyo、東京)
2017 「NOWHERE」(Impact HUB Tokyo、東京)
2016 「Sweet Revenge」(Anagra、東京)
2016 「POLY NUDE」(Anagra、東京)
2015 「故郷は未開の惑星」 (インストジオ、東京)
2015 「NOT FEEL AT HOME」(pocke、東京)
2015 「NOT FEEL AT HOME」(pocke、東京)
2015 「ラブレターカミングフロムミー」(pocke、東京)
[主なグループ展]
2019 「Tacking City Nihonbashi」(千總ビル、東京)
2018 「101・タンバリンギャラリー合同企画 『SAKE TO ART』」(101、Tambourin Gallery、東京)
2017 「New gig 4」(ARGUMENT GALLERY、東京)
2017 「WARHOLE vol2」(Anagra、東京)
2017 「PARK GALLERY presents 100年後展」(hoffma、大阪)
2017 「怪奇!納涼祭」(LUCK、東京)
2017 「BLINDERS」(Galerie LE MONDE、東京)
2017 「BADULTA」(Anagra、東京)
2016 「吉原芸術大サービス 2016」(東京)
2016 「AMAGOI DISCO by otana × 17 Illustrators」(KIAN art gallery、東京)
2015 「TRIPS ARE TRIPS GIRLS ARE GIRLS」(TAV GALLERY、東京)
2015 「混濁池」(なかのZERO、東京)
2015 「みちづれ」(ぽたかふぇ。、東京)
2015 「みちづれ」(ぽたかふぇ。、東京)
2015 「シュルツ編集長のブックマーク」(ARTON、東京)
[Selected Works]
2018 Supreme 18AW collection
2018 Nike Japan キックスラウンジFWカスタマイゼーション