真珠子 個展「みつあみさなぎ」[ 10/16 (sun) – 10/30 (sun) ]
(衣装製作:maimiallo モデル:松野井雅 ヘアメイク:清田仁 撮影:増田賢一)
渋谷パルコでの個展から4年…。これまでもジャパニーズガーリーアートを牽引し、国内外で活躍してきた真珠子による待望の新作個展を開催いたします。
近年グリム童話に深い関心を寄せた真珠子は、ドイツで「ラプンツェル」のモデルとなる地を訪れます。そこで感じたのはおとぎ話への憧れだけでなく、物語の底に沈んだ人間の業。
真珠子は差別の対象であった魔女が1人の女性であったという事実を知ったことから、それまで読んでいた物語の見え方が180度変わってしまい、あの長い髪に隠れたラプンツェルも一体何を考え、感じて、生きていたのか、現代の女性の生き方と照らし合わせて創作することとなりました。
本展のタイトル「みつあみさなぎ」には、こうした憧れから人間の業まで様々な思いが編み込まれていたさなぎを脱ぎ捨て、羽ばたこうとする真珠子の決意が込められています。
80年代から続く“ヘタウマ”といった動向は、その系譜を脈々と現代へと継承してきました。それは既にイラストやファインアートの境界が表現主義的な動向において揺るがされていることからも見受けられるかもしれません。
しかし、こうした動向を一概に過去のムーブメントとして楔を打ち込むのではなく、現代の多様な文化領域の狭間で作品が自律を目指したとき、そこに思いも依らない事象との接点が活路を見出すように、真珠子が歩んでいる道のりはどんなムーブメントにも縛られない創作の力強さが宿っていることに気がつかされます。
それは真珠子が2010年より開催している私塾「真珠子学園」の卒業生を見れば一目瞭然。これまでの卒業生には人気YouTuberのくまみき、特殊モデルとして様々な写真作品の被写体になっている七菜乃、近年注目も高まる若手アーティスト町田ひろみや三毛あんりなど、アートからエンターテイメントまで幅広く活躍する人々を多く排出してきました。
情動的に描かれる少女たちは後続するアーティストたちを過去のムーブメントに囚われない多彩な活動へと駆り立ててきたのです。
「子どものころから子どもになりたかった」と語る真珠子は、今もなお遊び疲れることを知らない子どものように、大人になった私たちの帰りを待っているのかもしれません。
青木彬
作家プロフィール
真珠子(しんじゅこ)http://www.yan-oki.com/
真珠子(1976年8月3日生まれ)は、日本の画家、イラストレーター、映像作家、インスタレーション作家。熊本県天草出身。
2004年に原宿「LAPNET」での個展を期にアーティストとしての活動を開始。以後、日本の少女文化シーンを中心に表現活動を行っている。
最もよく知られている作品はアニメーション「パピヨンよし子」(2004年)。オートマティック的に描かれた自由な線と独特なリズム感で少女の内面世界を描いた作品である。
2006年に熊本市現代美術館で個展を開催。シュルレアリスティックなインスタレーション形式で、以後、彼女の中心的な表現形態となる。インスタレーションを発展させた個展ではほかに、故郷の天草や渋谷パルコで開催されたメイド喫茶風個展「よかにゃ~♡みぞかちゃん」(2012年)などがある。
主な個展
2016年 「通りゃんせ通りゃんせ-わたしの通過儀礼-」(台北・マンガシック)
2012年 「よかにゃ~♡ みぞかちゃん」(東京・LOGOS GALLERYロゴスギャラリー)
2011年 「花びらうらない」(東京・ヴァニラ画廊)
2010年 「おねえさんはリボン狂」(東京・パラボリカ・ビス)
2010年 「おとめだち」(東京・カオリ座)
2006年 「Ready for Lady」(熊本・熊本市現代美術館ギャラリーⅢ)
2004年 「やんちゃなおしおき秘宝館」展(東京・Lapnet Club)
主なグループ展
2015年 「ニセ・ザ・チョイス展」(東京・ビリケンギャラリー)
2015年 増田賢一&真珠子展「私の30代-真珠子39歳-」(東京・バー星男)
2014年 「夜想アーバンギャルド展」(東京・パラボリカ・ビス)
2014年 「現代日本のエロティックアート展Vol,2」(パリ・エロティック・ミュージアム)
装画
2011年「論理と感性は相反しない」山崎ナオコーラ著
2011年 「家系図カッター」増田セバスチャン著
2008年「ポケットは80年代がいっぱい」香山リカ著
2008年「原宿ガール」橋口いくよ著
その他
・グウェン・ステファニー ”Love Angle Music Baby” 歌詞カード、ノベルティ、コンサートグッズなどにイラスト提供
・宍戸留美「井の頭にて」PV制作
開催概要
名称 : 真珠子 個展「みつあみさなぎ」
会期 : 2016年10月16日(日)- 10月30日(日)
会場 : TAV GALLERY(東京都杉並区阿佐谷北1-31-2)[03-3330-6881]
時間 : 13:00 – 20:00
休廊 : 水曜、木曜
トークイベント:2016年10月16日(日)18:00 – 19:00 青木彬(キュレーター)× 真珠子(アーティスト)
クロージングパーティ:2016年10月30日(日)18:00 –20:00
18:00- 真珠子が寿司だんごを握ります。
19:00- CAMISAMA with 真珠子ライブ!&新曲MV大発表披露会!
(作詞、作曲:じゅん、歌:真珠子、MV映像制作:神田旭莉 照明:増田賢一)
Opening Party : 2016年10月16日(日)18:00 – 20:00
Talk Event : 2016年10月16日(日)18:00 – 19:00 Akira Aoki(Curator) × Sinjyuko(Artist)
Closing Party : 2016年10月30日(日)18:00 –20:00
【参考画像】