MES Exhibition「MAYDAY」[ 7/23 (sat) – 7/31 (san) ]
美術、音楽、メディア表現の講座を開講する「美学校」が中心となって7月初旬から都内8会場にて実施するアートプログラム「美学校・ギグメンタ2016」の開催にあたって、TAV GALLERYは参加企画として、新興芸術集団・MESの個展「MAYDAY」を、7月23日(土)から7月31日(日)まで開催します。
MESは、2015年、企画構成を行なう谷川果菜絵と、実制作やアイデアを仕切る新井健が中心となって結成された新興芸術集団であり、音楽(バンド)や演劇(劇団)の形態を参考に、異なる表現形態の若手アーティスト10名ほどが参加。
これまでに、境界へのアプローチをテーマにした1st Exhibition「MES-ONE」の開催以降、オーストリア・ウィーンにて1ヶ月間の滞在制作の後に開催した「NATU NATU」、言語を展示会場に持ち込んだ東京藝大藝祭での「My Eyes See_whistle blowing(わたしは見ている、内部告発)」、音楽レーベルSalvaged Tapes Recordsとの共同企画であり、LIVE EXHIBITIONと称し、視覚×聴覚の早替え展示を披露した「POOL MUG」などの活動を行なってきました。
本展、「MAYDAY」は、プラクティスの場である大学内、海外のアトリエ、ライブハウスと活動を行ってきたMESにとって、初となるギャラリースペースでの展示であり、「MAYDAY」(遭難時の救難信号/労働の日「メーデー」のダブルミーニング)と題し、美術・アートにまつわる見せかけのルールや基準に対して口を閉ざし避けてなおも、何らかのレッテルを貼られてくしかないことへの危機感の叫び、諷刺、その可視化が試みられます。
展示空間は、大都市のなかの貧民街、若者のたまり場であるゲットーあるいはアジトが参照され、バリケード封鎖の外部に抵抗する堅固で武骨なイメージ、レイヴやGABBAなどの「目眩」による「遊戯」がもたらす享楽的な遊園地的イメージ、そして、人間の生から切り離す事のできない体内やセックスのイメージなどに沿って組み立てられます。
本展メインビジュアルは、MAYDAYという危機の叫びと、まだ心臓が出来きっていない、人間になりきれていない胎児のエコー写真が組み合わされており、そのさまは、予期出来ない未来を託される胎児がMAYDAY!MAYDAY!と叫んでいるように見えます。
開催にあたって、本展の企画構成を行なう谷川果菜絵は、ステートメントとして、会話劇の戯曲ともチャットのアーカイブとも思えるテキストを執筆。本来直接的に語られる筈の主題はその姿を消し、周辺を取り巻く人間達が雑談のように、その中心について好き勝手に話をしています。
この語り方、それ自体が、MESの態度であり、中心よりも多様性に富んだ周縁を語ることによって、自らの防衛前線を敷き、守るべきものとしての内側に「徹底して<外部>に置かれる作品」としての自分たちの都市・アジトを築き、その反転可能性を見つめるという、鑑賞者にとっては、ひとつの劇ともいえる「状況」が提示されるでしょう。
可塑的な集団であるMESによる、言葉にしづらい相容れないもの、矛盾するものが混在され構成される本展に、是非ご期待ください。
TAV GALLERY STAFF
作家プロフィール
MES
MES is a group of free artists which
creates experiential exhibitions
and was founded 2015 in Tokyo, Japan.
Exhibition
2015「LIVE EXHIBITION“POOL MUG”」(Sakuradai pool, Tokyo, Japan)
2015「My Eyes See_whistle blowing」(Tokyo University of Arts“GEISAI”, center building floor 2, Tokyo, Japan)
2015「NATU NATU」(Thomas Schrank Gallery, Wien, Austria)
2015「MES-ONE」(Tokyo University of Arts, student hall floor 2, Tokyo, Japan)
開催概要
名称 : 美学校・ギグメンタ2016 MES Exhibition「MAYDAY」
会期 : 2016年7月23日(土)- 7月31日(日)
会場 : TAV GALLERY(東京都杉並区阿佐谷北1-31-2) [03-3330-6881]
時間 : 11:00 – 20:00
休廊 : 木曜日
出展・企画 : MES(谷川果菜絵、新井健、楊博、山田悠太朗、BATIC、秋山拓 ほか)
主催 : 美学校・ギグメンタ2016実行委員会
助成 : 公益社団法人朝日新聞文化財団
協力 : 西田篤史
Opening Party : 2016年7月23日(土)18:00 – 20:00
Closing Party : 2016年7月31日(日)18:00 – 20:00
※ライブパフォーマンスを予定
ステートメント
『メーデー』
メーデー。メーデー、メーデー、
「メーデーメーデーメーデー」
「こちらはメスメスメス」
「メーデーMES」
「位置は北緯35度42分西経139度38分」
「なんちて」
「私たちはメディアアーティストです」
「そしてファインアーティストです」
「アートをやっている精神異常者です」
「アートは民主主義です」
「アーティストも同じく」
「美術にも常識ってあるでしょ」
「それ知らないで美術やられてもね」
メーデー。メーデー、メーデー、あ、
「生まれる所から監視されてる」
「美術なんてクソ」
「私たちがつくっているのは美術じゃありません」
「アーティストって世の中的には音楽やってる人のコト指して言うし」
「作家って小説家のことだよね」
「演劇の人は美術をしらない」
「音楽の人も美術をしらない」
「同じ文化のなかでもこんなにしらない」
「だからいい気になるな」
「世界は広いのだ」
「芸術ってそんなに偉いの」
「アートが私小説的で何がいけないんだ」
「アート業界もコンビニエンスにしたいならバーコードつけときな」
「パーソナル万歳」
「人間の根本をやらなきゃだめだ」
「それ以外にやることなんてないのだ」
「個人なんて無い」
「あるのはとじた皮膚だけ」
「触れられた時はじめてわかる」
「すべては波」
「だから近い所に緩いモン置いとくと悪い影響しかないんだよ」
メーデー。メーデー、メーデー、
「やっぱウソはだめでしょ」
「かならずある文脈に則っていかないと評価の対象にならない」
「歴史に遺ることが全てだ」
「アートってコンビニエンスなところあると思う」
「生き方にしろやり方にしろ」
「物事には整合性が必要」
「アートも同じ」
「信用っていうか」
「データと文字が伴わなきゃアートなんてなんの発展もしなかった」
「たいてい理性で片付けられるし」
「美術のメインストリームに乗ってるかどうか」
「ある程度検討つく」
「わからない作品って何なの」
メーデー。メーデー、メーデー、
「私たちは断片人間」
「つぎはぎでできている」
「全部化けモノ」
「お化けの類ですね」
「周縁の物語が重層化することこそその本質を突いているはず」
「メインと名付けられたもの」
「消費の対象か過去においやられたモノでしかないのではないか」
「何も解決しないんで」
「何らかの解答を求めるな」
「冷感っていうか温度の低いモノが好み」
「突き刺さるかもしれないし」
「だれかの温度で溶けてカタチが変わったりする」
「おーいおっさんおっさん」
「そもそもなにがセオリーなんだよ」
「オメェがアート発明したんかおっさん」
「殴られて立てなくなっても容赦なく殴られる」
「相手は人じゃないからさ」「死にはしないけどね」
「バーチャルの世界よりももっと現実的な」
「話さ」
「美術って退屈」
「1年も2年も前からその企画は決まってるでしょ」
「積層した仕事から漂うオッサン臭いカサカサの哀愁をみる」
「ってか職業美術家ってそうゆうもん」
「だけどそれって乾いたもので」
「どこまでいま湿れるか」
「アンタのこと思って四六時中濡れてたってイザって時に濡れなかったら」
「ホント意味ない」んー、
「でも本来的に芸術家ってその場で気持ちよくなれない人間なのかも」
「危機感というかこちとらアートでもしてなきゃさ」
「クスリに逃げるか死ぬほど退屈してんだ」
「社会への警鐘とか鳴らして暇なの」
「愛や死が引き連れてくる様々な暴力と関係性と胎動を表し続けること」
「誰も皆愛求め彷徨う旅人」なんじゃなかったの?
メーデー。メーデー、メーデー、
「オリジナルなんて無い」
「全てはシミュレーションなのだ」
「ハッタリばっかかましてると痛い目合う」
「ハナから実直にいけばいいのに」
「ほら」
「危ないことばっかり言おうとする」
「道徳的とかより法律的にさ」
「完璧に理論武装して」
「ちゃんとしてます」
「知ってますって言わないと」
「アーティストはそこまでやらないとビッグになれないだろ」
「独りで全部出来るようになって」
「はじめて自立できる」
「晴れ舞台に立つこととそれを作り出すこと」
「これがアート」
「外見だけ気にしてるアーティストは多分大成しないんじゃない」
「ストリートアートとかデザインに回収されるのがオチでしょ」
「自己顕示欲強すぎ」
メーデー。メーデー、メーデー、
「クリエイターってうさんくさい」
「アートがデザインやプロダクトと違うのは個人を離れていかないことだ」
「どうしようもなく個人やその制作者との手綱を切る事は出来ない」
「その人というだけで価値が跳ね上がったりする」
「人ありきなのだ」
「アートが作家と手を切ったら」
「そこに残るのは物質だけ」
「なおその作品性を担保してくれるのはその人らしさだったりする」
「だからといってさ」
「作家ありきの見方に偏り過ぎでしょ」
「1分でも真剣に作品を見つめたのかね」
「美術はオーダーメイドじゃん」
「その場所のためにつくらなくてどうするの」
「くくられてたまるか」
「専門性をかさに着てる奴はアーティストじゃねえ」
「ハレとケっていうけど」
「ケが作り出したハレだからなあ」
「祭りやなんかっていうのはさ」
「実際にその場に行けばケの中のハレが見え透いていて」
「つまんない」
「アートが形骸化した祭りと異なるのはハレでもケでもない」
「もはや別の世界」
「パラレルワールドがたちあらわれてくるところだと思うんですね」
「画面や空間に」
「それが自分を精神的に昂らせてくれたり」
「その世界を引き継ぐ二次的な言葉や物質があらわれたら」
「それがアート」
「新しいことなんて無い」
「模倣をやめたアートなんて存在するのか」
「リアリティを探してたらリアリティ無いってことが分かって」
「でもそのリアリティの無さが私たちなんじゃないかって」
「思いません」
「貧乏でもいいじゃん」
「それなりに楽しく生きてれば良いと思うけど」
「今のアートは大体おんなしに見える」
「制作って制限があったほうがやりやすいんだよね」
「だから向こうからやってくるのを待つってスタンスを取っています」
「力強く屹立してること」
「それ一つで立っていること」
「それがその作品の力を示している」
「一番ダメなのは享楽的で快楽的な展示」
「アーティストは安定しているようではダメ」
「つねに刺激を求めないと」
「さっさと評価なりくれないかな」
「大体わからないことなんてないんだよ」
「皆どんぐりの背比べでやってるんだから」
「律儀さと速さが生き残れるかどうかを決める」
「プレイヤーじゃなきゃわからないことがある」
「確かにそれもあると思います」
「経験主義に依るのも何か違うんですよね」
「客観性を獲得出来ることもあると思いますし」
「社会問題ナンダカンダ言ったって」
「やっぱ一番クるのは恋人にフラれたとかペットが死んだとかじゃないの」
「パーティであなたを迎える時それが作り物であることは知ってる」
「なぜパーティをやらねばならぬのだ」
「パーティーは取りやめ」
「あなたなどどうでもよくなってしまうのだ」
恋人がソクバッキーで(別れたいらしい)、
ウチ門限うるさくて(家出したいみたい)、
バイトではブラックな残業ばっかりだし(辞めたいのかな)、
友達とは飲みばっか(ホントは帰りたいんだとか)、
飲み無いときは寝てTLみる(何かしたいっぽい)。
「皆自ら進んで拘束しあうことを生きがいにしてるよね」
「ありがとう」
「私が革命と裏切りを起こすための前提」
「退屈な普遍を毎日コツコツと積み上げてくれて」
「アートをやって生活が困窮しているなんてバカバカしい」
「手当り次第にギャラリー回り賞応募しーのハローワークじゃないっつの」
「整合性は求めない」
「矛盾というのは正すものでない」
「その相反するものが浮き沈みすることを受け入れ」
「見届けること」
「消費されることに耐えてこそ」
「マイノリティの声を聴いている」
「そのことが作品に付加価値を生んでいる」
「インパクトとかセンセーショナルなことやってやろうなんてアートに対する冒涜だろ」
「知らずにいう権利なんかないだろ」
「当初はどの流派も協会も前の時代に対するカウンターだったのだから」
「今の現状だけをみて批判するべきではないと思うんだけどね」
「個人的な妄想や思い出に偏るとどうしたってオナニー的な作品になる」
「考えて考え抜いて」
「そうして出てきた結晶がアートなんじゃないかなあ」
あー、あれね。あれは駄目だよ。
「面白い事ないかなー」
「最近フツーの事がしたい」
「サトリユトリ世代の逆襲」
「みたいな」
「シニカル」
「シリアス」
「すべてを飲み込んでいく日本発暗殺系集団」
「一緒にいればいるだけ」
「自分がメンバーとこんなにも違うのかと愕然とする」
「すべてにおいてにわかであり」
「無責任である」
「人間なんてそんなもんだ」
「童貞処女礼賛反対」
「男根団塊コギャルオタク世代に告ぐ」
私、解放シテアゲマス。オカネ要リマセン。コノ退屈ナ日常、義務、馴合イカラ。イツデモ、ナンデモ、
悦ビニ震撼スルホドノ革命ト裏切リヲアゲマス。
「逆のことならうまくいえる」
「魚は水の中で生きていることを知らない」
「知らないからこそ出来る事がある」
「その立ち位置を活かす手だてはある」
「既製品は大量生産じゃない」
「既製品全部が私たちにはプリミティヴなんだし」
「今あるモノは全部同じスタートをきってる」
「敵だと決めつける前に少しためらってみたらどうかな」
「専門性高くないと観られないアートってのは厭だ」
「最も理想なのは」
「今潜っている深さがわかるレイヤーが用意されたもの」
「アートは変なものではない」
「アナタの立ち位置からは変なだけ」
「奇抜な事に自負を持つって」
「あなたは普通の人間なんですね」
「ひとつひとつが最小単位のプロパガンダです」
「アートの大多数はミメーシス」
「ぼくたちはもう少しイリンクスなんだと思う」
「おさまらないんだよ」
「どうしたって」
「これだけ良い機会を貰ったんだからさ」
「お金にならなくったっていい」
「やりがい感じられればいい」
「誰かが見てくれているはずなので」
「全てのものは二次創作でしかないのよ」
「斜に構えてるよね」
「前はさ何にも染まってなくって良かったのにね」
「◯◯だ」
「って最初に主張した人が偉いと思ってない」
「とりあえずさ」
「落ち着いて」
「客観的になろうよ」
「何にも無いから洗脳されるゲームに興じているんです」
「ハマった者勝ち」
「早い者勝ち」
「斜に構えてるって言ってるおめえが斜に構えてるじゃん」
「個人主義こじらせてるとしか思えない」
「私は居場所があるからオヤとも仲良くできる」
「じじいばばあうるせえ」
「そのあとで考えれば微妙なカンケーとかいらない」
「全部本気だから邪魔すんな」
「アートによって何も変わんねえとか」
「客観性なんてありませんよ」
「少なくともそこだけ切りとることは出来ないので」
「既に繋がっているものを引き継ごうとするんじゃなくて」
「もっと非常に断絶したものを捜しだすことが肝要かと」
「だって目に見える繋がりは他者のしたこと」
「新しさのために繋がり」
「無い所にこそ繋がりを拓くべき」
「変わらないことが永遠だなんて幻想捨てろって話だよねー」
「そこに固執してると腐るし」
「海外に出ればグローバルグローバルうたわれる意味が分かるさ」
「自分探しっていうか葛藤」
「制作って」えっと、
「小ちゃい頃から絵を描くのがすきだったんですよ」
「今日あの画家と知り合いになれた」
「アートのためなら自分の人生台無しになってもいい」
「面白がってもらえるなら」
「伝説になりたい」
「憧れてる過去って、ほぼ写真とか周りの人の語りでしかないから」
「実際みたら幻滅するかも」
これ、なんの競争?
「社会がグローバルと平等を謳った結果が招いた不条理」
「これが私たち」
「美術は膨大な数のイメージや言葉の蓄積からひとつの物質やひとつのシークエンスへと収斂します」
「美術を観るというのは乾燥しいたけをもどすように」
「時間をかけてゆっくりとふやかすことなのです」
「肉体が死んだら何も残らない」
「だからこそ知りたいし残したい」
「悪に埋もれる日もあれば」
「愛を謳歌する日もあるだろーよ」
「社会のためでも芸術のためでもない」
「ただそこにある衝動と欲望のために表現するんだ」
「安定と刺激どっちが欲しいなんて」
「くだらないこと聞かないでよ」
「どちらにせよ」
「先がわかってたらつまらないでしょ」
「ダメと言われたらやりたくなる」
「要らないと言われたら欲しくなる」
「壮大ないたずらに近いのかも」
「とりあえず全力でしのぐぞ」あー、
「死ぬとき位は誰にもみられたくない」