小宮麻吏奈 個展「-ATCG」[ 11/23 (fri) – 12/9 (sun) ]


 

 

TAV GALLERYでは、11月23日 (金) から12月9日 (日) までの会期にて、小宮麻吏奈による個展「-ATCG」(マイナスエーティーシージー) を開催いたします。

小宮麻吏奈は、自身のアーティストステートメントを「自身の身体を起点とし、新しい生殖/繁殖の方法を模索する」とし、2016年から2018年にかけて、花屋の経営をする「小宮花店」、オルタナティブスペース「野方の空白」といった身体論として場所を運営する活動で注目を集め、現在も、東京の一角にある更地──家のない庭にて、場所の制作を続けています。

本展覧会「-ATCG」は、小宮麻吏奈の活動の地図の一つとして、本展ステトメントに記された「生殖難民」という言葉が指し示すように、生殖/繁殖という行為によってつながれてきた人類の歴史からこぼれ落ちる人々、つまりは、ヒトのDNAの連鎖に中に見つけることのできない者たちを、「失われた信仰」という形で掘り起こすことが試みられます。

過去の失われた思想や信仰にアクセスするための遺物、遺跡を作り出し、子孫をつなぐという人類の歴史と対峙する本展。時代というスケールを超え、小宮麻吏奈が提示する新たな思考の枠組を、是非ご高覧ください。

 

TAV GALLERY STAFF

 

開催概要

 

名称 : 小宮麻吏奈 個展「-ATCG」
会期 : 2018年11月23日 (金) – 12月9日 (日)
会場 : TAV GALLERY (東京都杉並区阿佐谷北1-31-2) [03-3330-6881]
時間 : 13:00 – 20:00
休廊 : 水曜、木曜

レセプションパーティ : 11月23日 (金) 18:00 – 20:00

トークイベント :
11月30日 (金) 18:00 – / 遠藤麻衣 × 大木裕之 × 小宮麻吏奈
12月8日 (土) 18:00 – / 青柳菜摘(だつお) × KOURYOU × 小宮麻吏奈

 

アーティストプロフィール

 

小宮麻吏奈 / MARINA LISA KOMIYA

1992年アトランタ出身。自身の身体を起点とし、新しい生殖/繁殖の方法を模索している。近年の主な展示・プロジェクトに、パフォーマンス「window」(カタール, Safir Doha Hotel 311) や、花屋の経営をする「小宮花店」(2016〜2017) 、オルタナティブスペース「野方の空白」(2016〜2018) の運営などが挙げられる。

https://www.marinalisakomiya.com/

 

ステートメント

 

人類はこれまで、約700万年もの間、子孫をつなぎ、今日まで途絶えることなく生き延びてきました。

それも、ただ1つの方法のみによって。

現在、人間における生殖方法は男女による「性交」の1種類しかありません。

しかし、その方法からこぼれ落ちる人々がいます。広く知られている例だと、LGBTと呼ばれる人々がそれにあたりますが、実際にはそのカテゴライズの外側にも、想像するより多くの人々がそこに乗れず、生殖難民として彷徨っているように感じています。ノアの方舟に乗れない人々や種が滅びたように、「性交」という方舟に乗れない人々は、常に滅んできたのです。

 

人間だけでなく地上の全ての生物が繁殖のために最も多くのエネルギーを割くよう設計されています。

つまり、繁殖は生物の最重要課題ともいえますが、それはなぜでしょうか。繁殖することは「時間」を進めること、または生じさせるだとするならば、「時間」とはどのような目的で発生しているのでしょう。「時間」が生じることそれ自体が目的なのか、それとも別のなんらかの目的や最終形態に向かっているのか。どちらなのかはおそらく誰にもわかりませんが、私たちがその流れの中にいることは事実です。

 

流れ、つまり歴史というものは、続いてきたものたち、そして声を持った人々の歴史です。ヒトのDNAの連鎖の中には、これまで繋いできたミトコンドリアDNAは記録されていますが、子孫を残すことからこぼれたものたちの遺伝子を見つけることはできません。

今回は、活動の地図の一つとして、ATCGという遺伝子の連鎖の中に残らなかった者たちを「失われた信仰」という形で掘り起こそうという試みです。簡単に「信仰」と言ってしまって良いのかは難しいところですが、「クィア考古学」というような形で思考することができないかと考えています。

考古学は遺物や遺跡によって古代からの人類の文化を研究する学問ですが、ここでは未来の遺物、遺跡を作り出すことで逆照射的に過去の失われた思想や信仰、遺物にアクセスすることを試みています。

 

小宮麻吏奈